最高裁判決受け 原子力規制委委員長が談話「規制の不断の見直しに努める」 原発事故集団訴訟
東京電力福島第一原発の事故によって避難した住民らが、国に対して損害賠償を求めていた裁判の最高裁による判決を受け、原子力規制委員会の更田豊志委員長は「規制の不断の見直しに努める」などとする談話を発表しました。
【原子力規制委員会委員長・談話(全文)】
本日、東京電力福島第一原子力発電所事故に関して福島県から避難した住民の方々などが国家賠償を求めていた裁判について、最高裁判所において国が国家賠償責任を負うとはいえないとする判決が言い渡されました。
原子力規制委員会は、東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓に学び、二度とこのような事故を起こさないために設置されました。
判決においては、規制権限不行使に関する国家賠償法上の違法性は認められませんでしたが、各種の事故調査報告書において、従前の原子力規制に関し、自然の脅威に対する備えが不十分であり、新たな科学的知見を規制に取り入れるためのバックフィット制度がないなど、種々の問題点が指摘されてきました。
原子力規制委員会は、従前の原子力規制に対する深い反省のもと、これまで、地震、津波を始めとする自然現象に対する備えの強化や過酷事故への対策などを盛り込んだ新規制基準の策定、新たな科学的知見を規制に取り入れるためのバックフィット制度の運用など、事故の教訓を規制に生かすための取組を行ってきました。
原子力規制委員会は、引き続き、自然の脅威に謙虚に向き合い、新たな知見の収集を怠らず、規制の不断の見直しに努めてまいります。
また、福島の復興に向け、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業が安全かつ着実に進むよう、原子力規制の立場から十分な監視や指導などを行ってまいります。