【解説】アルツハイマーに“世界初”治療薬
日本の製薬大手エーザイとアメリカの製薬会社、バイオジェンが共同開発したアルツハイマー病の治療薬が、7日、アメリカのFDA(=食品医薬品局)に承認されました。どのような薬なのでしょうか?
■アルツハイマーとは
認知症にはいくつか種類がありますが、アルツハイマー型認知症が最も多く、認知症の人の7割を占めています。
その原因はわかっていませんが、脳内にアミロイドベータというたんぱく質が長年かけてたまり、神経細胞の変性に関係するという説が有力とされています。この説に従えば、若いうちから脳内にアミロイドベータがたまるのを防ぐ、または、脳内にたまったアミロイドベータを取り除けば、認知症の進行を抑えることができるとして、薬の開発が世界中で進められてきました。
■今回の新薬は?
エーザイとバイオジェンが共同開発したアデュカヌマブは、脳内アミロイドベータを標的にし、減らす薬です。
エーザイは、「アルツハイマー型認知症の病理に作用する初めてかつ唯一の治療薬です。これまでの薬は、あくまで、症状を一時的に軽くするものでしたが、アデュカヌマブは、原因物質に直接働きかけて、症状の悪化を長期的に抑える」と説明しています。
アメリカのFDAは、こうした薬の承認は世界初だとしています。
安全性や有効性を調べる臨床試験は、脳内にアミロイドベータの蓄積が確認されたアルツハイマーの初期段階(軽い認知障害や軽度認知症)の人を対象に行われ、アデュカヌマブを投与した人は、脳内のアミロイドβが減ったということです。
エーザイは、この薬の対象は初期症状の人で、薬の投与が早ければ早いほど効果があると話しています。
■課題は?日本では?
FDAは、追加の臨床試験で、実際に、認知機能が改善されることを示すよう求めていて、それが確認できなければ承認を取り消す可能性もあるとしています。
また、この新薬は価格が高く、あくまでもアメリカの場合ですが、1年分で、日本円にしておよそ610万円です。
この新薬は日本でも去年12月に承認申請が出されていて、審査中です。