「中間層が大変」公的支援限定で生活が困窮 “隠れた貧困”実態は…
収入がある程度あるため公的な支援の対象とならず、生活が困窮している家庭があります。私たちが取材をしてみると支援が届かない「隠れた貧困」の実態が見えてきました。
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『news zero』が訪ねたのは、食事を無料で提供する「こども食堂」。4日夜、東京・板橋区の「みなぱ食堂」では、親子連れなど63人が利用しました。
小学生の息子と娘がいる女性は、次のように語ります。
二児の母
「お米とかも値上がりして厳しかったりするので助かっています。食べ盛りになってきて、小さいときよりも食費が上がってきているので」
シングルマザー(30代)
「小学校1年生と年長なので、2年連続でランドセル代が…」
「月2回、業務スーパーに行って買うっていう。ほかでは買わないように工夫する。節約していて」
節約が欠かせないワケとは…
女性にはある程度の収入があるため、住民税が課されます。また、国や自治体が公的支援を行う場合、対象を「住民税非課税世帯」に限定することがあるため、受けられる支援も限られているといいます。
シングルマザー(30代)
「節約しているにもかかわらず、厳しいところはあるので。子どもたちには、好きなものも我慢してもらって。お菓子も十分に買えないよね」
こども食堂の代表も、こうした利用者の声をよく聞くといいます。
──こども食堂利用者について
みなぱ食堂 代表
「実は中間層が一番大変ではないかなと思っていて。収入がそこそこあるがために支援が受けられなくて、税金を多く払っているから所得もちょっと減ってしまう」
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困窮する子育て家庭の支援などを行っているNPO法人「キッズドア」が浮き彫りにしたのも、こうした“見えにくい”貧困の実態です。
NPO法人キッズドア 渡辺由美子理事長
「住民税非課税ではないけども、非常に困窮であるという人たちがたくさんいて。いろんなものが値上がりする中で、厳しいという声が起こっていますので」
一定の収入があるため、ギリギリ「住民税非課税」とはならず、児童扶養手当などの給付対象でもない家庭が、物価高の影響でお金に困る…。いわば「隠れた貧困」ともいえる苦しい状況に陥っているというのです。
キッズドアが、所得が低い母子家庭など1160世帯を対象に行ったアンケートでも…
子育て家庭の“声”(今年10月~11月、一部抜粋)
「低所得の方の支援ばかりで、ある程度の収入があると支援が受けられません。生活が苦しいのは一緒です。隠れた貧困にも支援がほしいです」
「収入を増やそうと頑張ると、児童扶養手当はなくなり色々な支援も審査で落ちる。収入を上げると見捨てられるということなので、頑張るのが怖い」
NPO法人キッズドア 渡辺由美子理事長
「困窮の実態と住民税非課税のラインが合っていない中で、そこをどうするのかは、喫緊に考えていただきたい」
キッズドアは、こども家庭庁と文部科学省に対し、「困窮子育て家庭の支援に関する要望書」を提出。支援における「住民税非課税」要件の見直しなどを求めています。
(12月4日放送『news zero』より)