救急搬送“緊急性なし”で料金【キキコミ】
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12月2日から都道府県としては初めて茨城県で始まったのが、こちら。
場合によっては「救急車を利用すると料金がかかる」というものです。
実際に、救急車を呼ぶ緊急性が認められれば、これまで通りお金はかかりません。
一方で、緊急性が認められない場合は一部の大病院では、1100円から1万3200円を徴収するというものです。
これは大病院を紹介状なしに受診した場合にかかる「選定療養費」です。
背景には、救急医療の現場がひっ迫するなかで、本当に緊急性が高い患者に医療が行き届かなくなるという危機感があるんです。
たとえば、私が夏に取材した東京消防庁のケースでは、朝から絶え間なく通報が寄せられるなかで、こんな通報も…。
○指令員
「東京消防庁です。火事ですか、救急ですか」
○通報者
「具合が悪くて…」
○指令員
「住所教えてください」
○通報者
「○○4-8-13…4-8-1」
その住所を調べても…。
○指令員
「○○さんの一軒家見つからなくて…」
○通報者
「もう切るよ」
○指令員
「切らないでください。場所わからないと救急車いけない」
○通報者
「だけど私も言っているのに通じないから(電話切れる)
指令員が折り返すと。
○通報者
「私いま病院に入っているから」
○指令員
「入院しているんですか?」
○通報者
「はい」
○指令員
「入院している人を救急車で運ぶことはできないですよ」
○櫻井
「今のだけでも3分~5分は要しているので、その間に取れる電話もいくつもあったように感じてしまいました」
このケースでは実際には救急出動はしませんでしたが、こうした不要不急の電話が本来の緊急通報の妨げになっているんです。
一方、総務省消防庁によると、こうしたケースで救急車が呼ばれたこともあったといいます。
・『蚊に刺されてかゆい』
・『海水浴に行って日焼けした足がヒリヒリする』
・『紙で指先を切った。血は止まっているが…』
(藤井)
こんなときでも出動しないとダメなんですか?
(櫻井)
茨城県の場合は救急車の要請があれば原則、救急隊は搬送を拒否することはできないというんです。
そのため、県内では2023年、救急搬送の件数が過去最多で、6割以上が大病院に集中。
しかも半数近くが軽症の患者で、緊急性が低いケースもあったといいます。
そうなると緊急性の高い患者に医療を提供できず、救える命が救えなくなる事態を懸念しているんです。
では、どんなときに料金がかかる可能性があるのか。
・軽い切り傷・軽い擦り傷のみ
・微熱(37.4℃以下)のみ
・打撲のみ
・便秘のみ
などは緊急性が認められず、徴収の可能性があるといいます。
一方で、
・大量の出血を伴うけが
・突然の高熱
・転ぶ、転落、交通事故で強い衝撃を受けた
・突然の激しい腹痛
これらはごく一部の例ですが、ためらわずに救急車を呼んでほしいとしています。
(藤井)
櫻井さんから説明があったように、本当に救急車が必要なときはためらわずに、“受診控え”がないようにしてほしいですね。
(櫻井)
もし救急車を呼んだ方がいいか迷ったときは、電話で「#7119」に相談することができます。
また、子どもの症状で判断に迷ったときは「#8000」に電話してください。
料金というよりは、自分の、そして誰かの命を守るためにも、救急車の適正利用をどうかお願いします。
(12月2日放送『news zero』より)