“超災害級”……水中でも熱中症ナゼ? 「暑すぎて学校のプール中止」SNSで話題 常識外れの夏への備え【#みんなのギモン】
そこで今回の#みんなのギモンでは、「“超災害級”? 熱中症に警戒」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。
●不要不急の外出控えて
●暑すぎてプール中止
「30年前、40年前の、私が子どもだった頃の夏とは明らかに違う状況になっていますのでご注意ください。日本救急医学会が8日、熱中症への注意を呼びかけるため、緊急の記者会見を開きました」
「理事の横堀將司医師は、『超災害級の被害を及ぼすのが熱中症だと強く共有しておきたい。暑さに慣れきっていない今の時期こそ気にしてほしい』と強い危機感を示しました」
鈴江奈々アナウンサー
「本当にそうですよね。まだ関東は梅雨明けしていませんが、真夏の暑さが連日のように続いていて、もう既に暑さで疲労感があるなというのを実感しますよね」
近野解説委員
「そこへもってきて熱中症です。暑さはまだまだ続くので、本当に注意が必要です。日本救急医学会の緊急提言について、具体的な中身を見ていきます。まず、全ての年代の方に向けて、『特に暑い時間帯は不要不急の外出を控えてほしい』と呼びかけています」
「例えば9日も(東京)都心の気温は朝8時の時点で30℃を超えていたので、つまり日中ずっとということですよね」
斎藤佑樹キャスター
「『不要不急の外出を控えて』というのは新型コロナウイルスの(流行)時を思い出しますが、それぐらい危険、危ないことですよね」
近野解説委員
「そうです。命に関わるんだという警告です。緊急提言では、『熱中症弱者を見逃さない』とも呼びかけられました。熱中症弱者とは、熱中症にかかりやすい人のことで、高齢者や乳幼児、持病のある人、経済的な問題などからエアコンを使えない人などを指します」
「こういった方々には周囲の人が過ごし方などに注意を払う必要があるほか、社会的な支援も必要だと訴えました」
近野解説委員
「実際、熱中症で搬送される方も日々増えています。東京消防庁管内では9日、午後3時現在で55人(速報値)が救急搬送されました。このうち80代の女性が命に関わる寸前の重篤な症状で、70代の女性が重症だということです」
近野解説委員
「8日までの1週間では、搬送者数(熱中症の疑いを含む)が増えた4日以降、東京都心では最高気温が35℃以上の猛暑日も増えています。同時に熱中症警戒アラート(東京地方)も4日以降、毎日発表され続けています」
森圭介アナウンサー
「7月2日の最高気温は31.4℃でした。これで暑さが収まっているなという感覚自体がどうかなと思いますが、それでも搬送者数が56人と50人を超えています。熱中症警戒アラートという目安は本当に大事になってきますよね」
近野解説委員
「皆さんの子どもの頃を思い出してください。『今日はプール中止です』という時の理由は何でしたか?」
斎藤キャスター
「雨だからとか…」
河出奈都美アナウンサー
「気温が低すぎて条件に満たなかったこともありました」
近野解説委員
「唇が青くなってブルブルした時が中止なんだというイメージですが、令和の時代は一変しています。8日にSNSで話題になった言葉が、『暑すぎて学校のプール中止』です」
「みんなのギモンのコーナーのスタッフの子どもは、東京・江戸川区の小学校に通う3年生。8日の朝『プールだ!』とウキウキで学校に行きました。ところが家に帰った時に『校長先生がダメって言ってプール中止になった』としょんぼりしていたそうです」
「この子の学校のプールは屋外にあり、40代の母親であるスタッフは『自分の子ども時代になかったことなので正直驚いた』と話していました」
鈴江アナウンサー
「暑いからプールに入りたくなるのに、中止は『え?』となりますし、子どもも残念な気持ちだと思いますが、安全を考えての判断ということですか?」
近野解説委員
「そういうことのようです。ではどんな場合にプール中止を判断するのか、江戸川区に問い合わせました。同区の場合は熱中症警戒アラートが発表されていて、なおかつ暑さ指数が31以上の場合、学校ではプールなど屋外での運動を含む活動は中止するという基準です」
「暑さ指数は、気温や湿度などを組み合わせた、熱中症の危険度を示した数値です。31以上で運動は原則中止ということになっています。環境省は、屋内であってもエアコンが設置されていないなど環境が整っていない場合は中止しましょうと呼びかけています」
「この時期運動が十分にできないというのは、外で部活動をする子どもたちにとってはつらいの一言ですね」
斎藤キャスター
「野球部も含めて、これからの時期は大会が増えるじゃないですか。最後の大会で試合できなくて引退ということもあるんですが、やっぱり命の方が大事ですからね」
森アナウンサー
「屋外の運動は理解できるんですが、不思議なのはプールで水に入るわけですから、それでも中止になってしまうんだなということです」
近野解説委員
「私も知りませんでした。プールに入っていても熱中症になるということです。体が冷えるのではと思っていたら、そうではないようです」
「済生会横浜市東部病院の谷口英喜医師によると、水中で運動すると陸上以上に運動量が増え、むしろ体温が上がりやすくなります。陸上なら汗をかいて蒸発させることで体温は下がっていきますが、水の中だと汗は蒸発しないので、熱が体内にこもってしまいます」
「水の中に入っているので、のどの渇きにも気付きにくいというリスクもあります」
河出アナウンサー
「泳いでいて口の中に水が入ってくるから、潤った気になってしまうというのはあるのかもしれませんね。水泳もれっきとした運動ですからね」
近野解説委員
「プールであろうと、屋外の運動であると捉える必要があります。とにかく、いつどこで熱中症になるのか分かりません。改めて熱中症のサインを確認します」
「めまいや顔のほてり、筋肉のけいれん、筋肉痛、体のだるさや吐き気。こういう症状があった場合には熱中症の可能性があります。涼しい場所で体を冷やして水分をとり、塩分も補給することも大事です」
鈴江アナウンサー
「こういったサインがないか子どもたちの変化も注意深く見たいです。実際にプールでの熱中症は起きているんですか?」
近野解説委員
「起きているそうです。2017年度までの5年間で、小中学校のプールで179件です。要注意です。日々の暑さが常識外れになっていますし、『暑いからプールに行こう』という私たちの世代の常識も通用しない時代になったというわけです」
「これから夏本番です。互いの命を守るための行動をぜひ心がけてください」
(2024年7月9日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
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