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アップルが故人スマホ“デジタル遺産”対応

2021年12月15日 20:01
アップルが故人スマホ“デジタル遺産”対応

アップルが新たに配信したソフトウエア、iOS15.2。Siriを使って声だけでアップルミュージックにアクセスできる機能のほか、“デジタル遺産”にも対応しています。事前登録で故人のスマートフォンのデータを家族などに託せるということです。

■アップル“デジタル遺産”ユーザー「大事な家族の写真やデータを何とかしてほしい」

いまや写真も書類もデジタル化。そこで問題となるのが、持ち主が亡くなったあともスマートフォンやパソコンに残される「デジタル遺産」です。写真や連絡先、金融機関の情報など、さまざまなデータがスマホに保存されていますが、故人が設定したパスワードがわからないと見ることができません。

アップルによりますと、“デジタル遺産”に対応した新機能は、本人が死亡した場合に、本人のアカウントと個人情報にアクセスできる人を事前に登録できるということです。

■「スマホに詰まった人生」どうアクセス?

操作は、iPhoneの設定画面から「パスワードとセキュリティ」を選択し、“故人アカウント管理連絡先”をタップ。「故人アカウント管理連絡先を追加」から、信頼できる人を複数指定できるということです。

故人アカウントにアクセスするためには申請が必要で、事前に作成されたアクセスキーと死亡証明書のコピーの提出が必要だということです。故人アカウントにアクセスできるデータは、iCloudの写真・メモ・連絡先・カレンダーなど。

一方、アクセスできないデータは、定額制動画配信サービスなどの課金や、Apple IDの支払い情報。また、クラウド上に保存された、クレジットカードの番号にはアクセスできないということです。

アップルの担当者によりますと、「昔のガラケー時代は電話だけでしたが、今はスマホにその人の人生が詰まっている」と話します。
“以前から要望が多かった”という“デジタル遺産”への対応。ユーザーから「大事な家族の写真やデータを何とかしてほしいという」声があったといいます。

■日本デジタル終活協会「パスワードは紙に書いて保存を」

こうしたなか、デジタル遺産に対する、死後の取り扱いの問題に取り組む、日本デジタル終活協会の伊勢田篤史代表理事は、パスワードは紙で保存することも有効だと指摘します。

伊勢田篤史 代表理事
「スマホやパソコンのログインパスワードは生前に紙に書いて、保管場所も家族と決めて共有することが大事だとおもいます」

一方で。

伊勢田 代表理事
「なかには生前にログインされてみられたくない情報もあるので、例えばデジタル終活用のエンディングノートを書いておいて、決めた場所に保管しておくことも一つの方法です。また、封筒に入れて封をすることで、万が一のことがあった場合に家族に簡単に見てもらえる方法もあります」

年末年始は大掃除や帰省で故人の思い出に触れることも多い時期ですが、人生が詰まった「デジタル遺産」をどう伝えていくか…。

伊勢田代表理事によりますと、USBなどで保管していても捨てられてしまうケースがあるため、アナログな方法で保管することも検討してほしいとしています。

写真:“デジタル遺産”登録の仕方