「空き家」を再生し地域を活性化 「サウナ付き別荘」や「昭和レトロなホテル」に反響
全国で住宅や別荘の空き家が増加し、社会問題となっています。そうした空き家を再生させ、地域の活性化に役立てようという取り組みが各地で行われています。バブル期に建てられた別荘を再生させた貸別荘や、昭和の香りが漂うアパートを改装したホテルなどが人気を集めています。
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栃木県の那須高原。木々の中に建っていたのは、30年以上前のバブル期に建てたれたとみられる別荘を再生させた貸別荘です。
木の香りが漂う吹き抜けの大きなリビングや自然を眺められる落ち着いた空間に加え、最大の“売り”というのが、外につくられた不思議な形の建物、木材で作られた「プライベートサウナ」です。
いったいなぜ、別荘を再生したのでしょうか。
LIFULL・空き家利活用グループ長 幸田泰尚さん
「築古(築年数が古い)だったり、オーナーさまの高齢化であったりとか。放置されている空き家が別荘として多くある」
こうした別荘や住宅などの空き家は全国で増え続け、社会問題となっています。2018年時点で約850万戸と60年前の36万戸と比べて24倍に増加しているのです。(※総務省 平成30年 住宅・土地統計調査)
この会社では、この地域の地域活性化を目的に団体を設立。平日でも予約がうまるほどの反響があるといいます。(※12月中旬~来年3月中旬まで冬季休業)
LIFULL・空き家利活用グループ長 幸田泰尚さん
「もったいない建物が全国たくさんありますので、そこを楽しいとか快適というような施設に再生・転換していけるかなと」
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空き家を活用する動きは、神奈川でも進んでいます。藤沢市にある昭和44年に建てられたレトロな雰囲気のアパートが、11月に「ホテル江ノ島アパートメント」としてオープンしました。もともとは使われずに空き家状態だったといいます。
中に入ると、モダンな家具やレコード、昭和の香りがただようレトロな和室などがありました。その理由が――
ビジョナリー代表取締役社長 野村輝法さん
「特に若い人に多いんですけど、昔のものへのあこがれであったり、昭和レトロとか『非日常性』を求めて旅行に来られる方も多いので」
さらに、最大60人の団体の貸し切りができて企業の研修で使われることや、レトロな内装が受けてか、コスプレの撮影での予約も多いといいます。
ビジョナリー代表取締役社長 野村輝法さん
「特に最近コスプレで和装がはやってるので、こういう古い空間や古い建物で撮影されたいということで」
同じ空間や体験を共有することで、人とのつながりを深めてほしいということです。
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“町を思う気持ち”から空き家を生まれ変わらせた地域もあります。埼玉・宮代町では、以前は空き家となった6棟の平屋が並んでいた場所が今年10月、白を基調とした清潔感のある店舗が並ぶ“横町”に生まれ変わりました。そのきっかけが――
デザイナー 中村幸絵さん
「あそこで何かできないかという、兄妹3人の雑談から始まった」
この町で生まれ育ったという兄妹3人は、建築関係の仕事で培ったノウハウを生かして空き家の再生を実現したのです。並ぶのは地元に根付いたお店で、隣の春日部市のお茶専門店が扱うのはヨーグルトです。早速“ファン”ができたといいます。
町民からも歓迎の声が聞かれました。
地元の利用客
「すごくいいと思います」
地元の利用客
「発展にもなるんじゃない、町の」
空き家の有効活用は今後も広がりそうです。