【まとめ】秋田市のスーパーのクマ 45時間あまり"居座り"もついに捕獲 発生からの動きを詳報
45時間あまり、2日間にわたって秋田市のスーパーに居座り続けたクマが、2日朝、捕獲され、スーパーから運び出されました。
国道にも近く、住宅や商店が立ち並ぶ地域で起きた一大事が、ようやく収束し、住民からは安堵の声が聞かれました。
発生から捕獲までの動きをまとめました。
佐々木勇憲 記者
「捕獲用のおりを乗せた軽トラックが、いまスーパーから出てきました」
スーパーに居座り続けたクマが、2日午後1時すぎに捕獲用のおりごと運ばれていきました。
周辺住民を不安に陥らせた、クマの居座り。
発端は、先月30日土曜日の午前6時20分ごろのことでした。
30日朝、秋田市土崎港西のいとく土崎みなと店で、20人ほどの従業員が開店に向けて作業を進める中、総菜売り場付近で、47歳の男性従業員が、「痛い痛い」と声を上げました。
うずくまっている男性従業員を、別の従業員が発見。
そのすぐ先には体長1メートルほどのクマがいたということです。
男性従業員は、頭や顔にけがをし、ほかの従業員は、店の扉を閉めて隣接する警察署に避難しました。
県のクマ情報マップシステム・クマダスによると、秋田市の北部では、11月の後半から、相次いでクマが目撃されていました。
スーパーでクマが確認される前の日、先週金曜日の夜に、店から200メートルほど離れたところで撮影された映像には、同じクマかは分かりませんが、走る姿が映されていました。
佐々木 記者
「いま猟友会・警察がおりを店の中へと入れていきました。風除室の中に設置しておくということです」
店の関係者が外から確認したところ、肉売り場が荒らされて、肉がなくなっていたというスーパー。
秋田市が、捕獲用のおりを入り口の2か所に設置しました。
近くでは、コメの袋やはちみつと書かれた段ボールを持つ人の姿が。
現場に駆け付けた地元猟友会によると…。
「バナナとリンゴとパンとはちみつをその上にかけて入れてきました」
記者
「コメは」
「古くなったおコメいらないっていう人いるんで、もらうとまくんです。コメも食うからね」
「だけどスーパーの中にあれだけあるんだからさ。なんぼか多めにはちみつも2本くらいまいたんじゃないか」
店内には多くの生鮮食品も並ぶ中、できるだけクマを引き付けようという作戦です。
しかし。
佐々木 記者
「発生から一夜明けましたが、クマが捕まったという情報はまだなく、現場に目立った動きもありません」
発生から約25時間。
1日の朝も、おりにクマは入っていませんでした。
秋田市と警察がドローンで売り場の中を確認しましたが、クマの姿は一度も確認できませんでした。
番組では、取材をもとにした店内の見取り図を作成しました。
右側がクマに襲われた男性従業員がいた総菜売り場、左の奥が荒らされた形跡がある肉売り場です。
警察は、クマは売り場ではなくバックヤードにいるとみて、売り場とつながる扉4つすべてを封鎖しました。
佐々木 記者
「いま、盾を持った警察官が店へと向かって行きます。これから、売り場とバックヤードをつなぐ4つの扉を封鎖する作業に取りかかるものとみられます」
その後、1日午後5時半過ぎに、警察官が店のバックヤードにいるクマを目視で確認したため、捕獲用のおり2基をバックヤードと売り場を結ぶ扉に移動。
そして。
2日午前4時ごろ、県がおりに設置したカメラが作動し、クマが中に入ったことが画像で確認されました。
その後、警察官が目視でも体長1メートルほどのクマ1頭がおりの中にいるのを確認しました。
市街地で起きたクマの居座り。
店から東に約600メートルの土崎小学校は、保護者に児童を送迎するよう呼びかけました。
登校時間も、いつもより45分のばすなどの対応をとっています。
「心配は心配なんですけども、早くけがされてる方もいるんで、 早くつかまってくれることを祈ってます」
「心配なので、仕事行きがてら送ってきました」
クマが捕獲されたことで、現場は対応する警察官や県の職員などで再びあわただしくなりました。
進藤拓実 記者
「午前10時です。盾を持った警察官が続々と店舗の中に入っていきます」
佐々木 記者
「いま、軽トラックが風除室の中へと入っていきました」
その20分後には。
佐々木 記者
「捕獲用のおりを乗せたトラックが、いまスーパーから出てきました」
「ブルーシートに覆われていて、中の様子を確認することはできません」
発生から約55時間、麻酔をかけられたクマが、午後1時すぎ、店から運び出されました。
事態は収束し、近くに住む人や働く人たちからは安堵の声が聞かれました。
現場近くのすし店 店主
「私はもう45年以上(店を)やってるんですよ。ですからね、まぁとにかくクマがなんてことは考えたことなかったですけどね、まぁとにかくびっくりしましたね」
現場近くのタイヤ店 社長
「一歩間違えればうちの倉庫にいて、タイヤは黒いのでクマと色似ているので、もしいたらどうしようと思いましたし」
「ほっとしてます、はい」
現場近くの子ども園 園長
「どこから出てきたのかっていうのがすごく心配で」
「今回は捕まえたので良かったって安心感はありますね、はい」
捕獲されたクマは、メスの成獣だったということです。
県自然保護課は「体長が1メートルほどであれば、去年親グマと一緒に里に下りたことがある可能性も考えられる」と指摘しました。
そのうえで「クマは雪が降ってくれば冬眠するが、雪が積もるまではまだ少し時間がありそうなので、引き続き注意してほしい」と呼びかけています。