徳島県立近代美術館所蔵の絵画“贋作” 1999年に6720万円で購入
徳島県立近代美術館が所蔵する絵画に贋作の疑いが生じていた問題で25日、美術館は会見で、この作品を「贋作である」とする見解を示しました。
徳島県立近代美術館・東條揚子館長「このたび、徳島県立近代美術館では、ジャン・メッツァンジェ作の『自転車乗り』としていた所蔵作品はヴォルフガング・ベルトラッキによる贋作であると判断した」
問題となっているのは、徳島県立近代美術館が1999年、フランス人画家ジャン・メッツァンジェの作品「自転車乗り」として6720万円で購入した絵画です。
長年の所蔵作品に贋作の疑いが生じたのは、去年7月のことでした。この絵を描いたとされるベルトラッキ氏は、以前こう話していました。
ドイツ人贋作師、ヴォルフガング・ベルトラッキ氏「絵は1988年ごろにパリの業者に売ったと思う。10万ドルくらいで売れたかな」
「自転車乗り」を自らの手によるものだと認め、「終わったことだ」と、うそぶいたのです。
25日、徳島県庁で開かれた会見で、徳島県立近代美術館は贋作と判断した根拠について、こうしたベルトラッキ氏自身の証言のほか、本人が自叙伝に作品を掲載していること、ドイツ・ベルリン州警察の捜査結果、作家の著作権管理団体が贋作と判断していることなどを挙げました。
その上で現在、展示を取りやめている、この作品を改めて公開する考えを示しました。
徳島県立近代美術館・竹内利夫課長「お客様、各方面から、どんな作品だったのか一度見たことはあるが、もう一度見られるのかというような声をもらった。私たちとしても、説明しなければと考えている。この件の報告、説明という意味で、作品を見てもらう機会をつくりたい」
公開する時期については未定だということです。美術館では今後の真贋判定に役立てるためにも、専門機関による分析を進める考えです。
竹内利夫課長「(Q.学芸員としても贋作であるという区別は難しい?)本質的なところ。欺けるから贋作。専門家一同、見抜けなかったということ」
美術館は今後、弁護士と相談しながら、購入元である大阪市の画商に対し、法的な対応などを検討していく方針です。