大船渡・山林火災 平成以降“国内最大”に…震災経験の住民 迫る火の手にまた避難【バンキシャ!】
岩手県大船渡市の山林火災は燃え広がり、平成以降“国内最大”となっています。バンキシャ!が取材中に出会った住民の家族は、14年前、東日本大震災で自宅が津波に流され、その後高台に建てた家に火の手が迫る今、避難を強いられています。【バンキシャ!】
◇
26日に発生した、大船渡市の山林火災。発生から5日目となる2日も、山は厚い煙に覆われていた。
正午過ぎの映像。赤い炎をあげて、激しく燃え続けているのがわかる。
火災が確認された赤いエリアのうち、約1800ヘクタールが焼失。(2日午前6時時点 ※大船渡市の資料より)
平成以降、国内最大規模の林野火災となっている。
28日、バンキシャ!が大船渡市赤崎町の大洞地区を訪れると…
バンキシャ!
「あれ、焦げくさいにおいがする。煙がこっちに向かってきています」
このとき、大洞地区には避難指示は出ていない。しかし火は山の尾根を越え、じわじわと近づいてきていた。
近くの住民
「煙がすごいから今出てきた」
金野綾子さん(81)と孫の金野健太さん(27)。
バンキシャ!
「やっぱ風景違いますか?」
孫・金野 健太さん(27)
「違います、本当に違います。きのう(1日)よりも本当にかすんでいますね」
「場合によっては、もしかしたら今日明日で、火が消えない限りは避難するかも」
風向きから不安を感じ、避難指示が出る前から避難の準備をはじめていた。車の中には、すでに飲み物やタオルなどを積み込んでいた。早くから準備をするのは、東日本大震災の過酷な経験があるからだという。
孫・金野 健太さん(27)
「震災が起きたとき中学校にいて、昇降口近くに来たらいきなりドカンってきて。そのときは準備もなく制服と上履きだけでなんとか逃げてきて。家も見事に(津波で)流されて」
震災後、高台に建てた家。そこに、今度は火の手が迫る。
祖母・金野 綾子さん(81)
「山がいいと思って家建てたら、山火事になったらおっかねえもんね」
そして午後6時過ぎ、あたりが暗くなると山の斜面には…
バンキシャ!
「あー、赤い炎が見えます」
すると、防災無線で新たな指示が――
「新たに宿・後ノ入・森っこ・大洞・生形・山口地域に避難指示を発令します。直ちに避難してください」
バンキシャ!
「大洞地区に避難指示が出ました」
取材をしていた大洞地区まで避難指示エリアが拡大。
孫・金野 健太さん(27)
「安心しろ。いいからいいから、積め積め積め」
金野さん一家は車に毛布を積み込み、避難所へ。ほかの住民も続々と車で避難する。
バンキシャ!も避難指示エリアから退避。開設されたばかりの避難所では、慌ただしく物資の搬入などが行われていた。その中には金野さんの姿も。家の安全が確認できるまでは、この場所に身をよせるという。
発生から5日目の今も鎮火にいたっていない大船渡市の山林火災。懸念されるのは、山の斜面の火が今後、ふもとの住宅街に燃え広がること。
◇
バンキシャ!は、山林に見立てた斜面の模型を使い実験を行った。(東京理科大学 火災科学研究所)
まず、風がない状態で、斜面の上に火をつける。
バンキシャ!
「炎が同じ場所でずっと燃えているように見えます」
火は真上に向かい、隣の木まで燃え広がらない。しばらくすると、赤い炎が見えなくなるほどまで火は弱まった。
しかし、模型上で風速10メートルに相当する風を送ると――
火は風下に流され、勢いを増し斜面をくだっていった。専門家は…
東京理科大学 火災科学研究所 松山 賢 所長
「風がある場合は風下の方に、その熱源が向かっていくという傾向があります」
「谷に向かって風が吹く場合は延焼速度が速まってくる傾向がありますので、傾斜の上の方で炎があったとしても安心せずに、危険な状況がすぐ迫ってくるかもしれない」
「非常に注意しながら見守っていく必要がある」
3日も風速6~9メートルの風が吹くと予想されている大船渡市。引き続き乾燥注意報も出ており、厳重な注意が必要だ。
*3月2日放送『真相報道バンキシャ!』より
◇
26日に発生した、大船渡市の山林火災。発生から5日目となる2日も、山は厚い煙に覆われていた。
正午過ぎの映像。赤い炎をあげて、激しく燃え続けているのがわかる。
火災が確認された赤いエリアのうち、約1800ヘクタールが焼失。(2日午前6時時点 ※大船渡市の資料より)
平成以降、国内最大規模の林野火災となっている。
28日、バンキシャ!が大船渡市赤崎町の大洞地区を訪れると…
バンキシャ!
「あれ、焦げくさいにおいがする。煙がこっちに向かってきています」
このとき、大洞地区には避難指示は出ていない。しかし火は山の尾根を越え、じわじわと近づいてきていた。
近くの住民
「煙がすごいから今出てきた」
金野綾子さん(81)と孫の金野健太さん(27)。
バンキシャ!
「やっぱ風景違いますか?」
孫・金野 健太さん(27)
「違います、本当に違います。きのう(1日)よりも本当にかすんでいますね」
「場合によっては、もしかしたら今日明日で、火が消えない限りは避難するかも」
風向きから不安を感じ、避難指示が出る前から避難の準備をはじめていた。車の中には、すでに飲み物やタオルなどを積み込んでいた。早くから準備をするのは、東日本大震災の過酷な経験があるからだという。
孫・金野 健太さん(27)
「震災が起きたとき中学校にいて、昇降口近くに来たらいきなりドカンってきて。そのときは準備もなく制服と上履きだけでなんとか逃げてきて。家も見事に(津波で)流されて」
震災後、高台に建てた家。そこに、今度は火の手が迫る。
祖母・金野 綾子さん(81)
「山がいいと思って家建てたら、山火事になったらおっかねえもんね」
そして午後6時過ぎ、あたりが暗くなると山の斜面には…
バンキシャ!
「あー、赤い炎が見えます」
すると、防災無線で新たな指示が――
「新たに宿・後ノ入・森っこ・大洞・生形・山口地域に避難指示を発令します。直ちに避難してください」
バンキシャ!
「大洞地区に避難指示が出ました」
取材をしていた大洞地区まで避難指示エリアが拡大。
孫・金野 健太さん(27)
「安心しろ。いいからいいから、積め積め積め」
金野さん一家は車に毛布を積み込み、避難所へ。ほかの住民も続々と車で避難する。
バンキシャ!も避難指示エリアから退避。開設されたばかりの避難所では、慌ただしく物資の搬入などが行われていた。その中には金野さんの姿も。家の安全が確認できるまでは、この場所に身をよせるという。
発生から5日目の今も鎮火にいたっていない大船渡市の山林火災。懸念されるのは、山の斜面の火が今後、ふもとの住宅街に燃え広がること。
◇
バンキシャ!は、山林に見立てた斜面の模型を使い実験を行った。(東京理科大学 火災科学研究所)
まず、風がない状態で、斜面の上に火をつける。
バンキシャ!
「炎が同じ場所でずっと燃えているように見えます」
火は真上に向かい、隣の木まで燃え広がらない。しばらくすると、赤い炎が見えなくなるほどまで火は弱まった。
しかし、模型上で風速10メートルに相当する風を送ると――
火は風下に流され、勢いを増し斜面をくだっていった。専門家は…
東京理科大学 火災科学研究所 松山 賢 所長
「風がある場合は風下の方に、その熱源が向かっていくという傾向があります」
「谷に向かって風が吹く場合は延焼速度が速まってくる傾向がありますので、傾斜の上の方で炎があったとしても安心せずに、危険な状況がすぐ迫ってくるかもしれない」
「非常に注意しながら見守っていく必要がある」
3日も風速6~9メートルの風が吹くと予想されている大船渡市。引き続き乾燥注意報も出ており、厳重な注意が必要だ。
*3月2日放送『真相報道バンキシャ!』より
最終更新日:2025年3月3日 9:08