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外来種の水草“ウオーターレタス”が大繁殖 養殖ノリの収穫に影響も 熊本

2022年11月22日 21:52
外来種の水草“ウオーターレタス”が大繁殖 養殖ノリの収穫に影響も 熊本

水面で大きな葉を広げ、“ウオーターレタス”ともいわれる外来種の水草が、熊本市の加勢川で大繁殖しています。今年は例年にないほど川面に広がっていて、まもなく収穫を迎えるノリの養殖への影響が懸念されています。

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22日、熊本市の川には、信じられない光景が広がっていました。

記者
「すごい。もう、びっしり緑で埋まっちゃっています」

市の中心部から、車で約30分の場所にある加勢川です。川面が緑に覆われていました。その範囲は約6万平方メートル。なんと、東京ドーム1個分以上の広さです。

謎の緑の正体は――

熊本河川国道事務所・緑川下流出張所 永谷恵一所長
「ウオーターレタスとも呼ばれている、特定外来生物になります」

通称、“ウオーターレタス”。“レタス”というならば食べられるのでしょうか。

熊本河川国道事務所・緑川下流出張所 永谷恵一所長
「“レタス”って名前がついているんですけど、トゲトゲみたいなものがあって、鳥類とかもなかなか食べにくい」

ウオーターレタスは、特定外来生物に指定されている「ボタンウキクサ」という水草です。国立環境研究所の専門家によると、かつて観賞用として沖縄や小笠原に持ち込まれ、関東から西日本を中心に確認されるようになったといいます。

さらに、今年は例年の2倍の量になっているといいます。なぜ今、この加勢川で大繁殖したのでしょうか。

熊本河川国道事務所・緑川下流出張所 永谷恵一所長
「加勢川の上流に江津湖という湖がございまして」

原因の1つは、この場所から12キロほど上流にある湖にありました。

日当たりがよく、水温が高いという江津湖。毎年、除去作業を行っていますが、今年は、夏が終わってからも暖かい日が続いたため、水温が高くなり、生息しやすい環境になっていたといいます。

この湖などから流れたウオーターレタスが、すさまじいスピードで繁殖を繰り返しながら川を下り、下流でたまっているということです。

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加勢川では、先週から重機を使って除去作業を開始しました。

熊本河川国道事務所・緑川下流出張所 永谷恵一所長
「11月いっぱいでの撤去完了を目標に掲げているんですが…」

除去を急ぐ理由の1つには、ある食材が関係していました。

11月末から始まるのは、有明海の風物詩、「一番ノリ」の収穫です。ウオーターレタスが大量に下流に流れると、収穫に影響があるといいます。

川口漁業協同組合 藤森隆美組合長
「特に今からノリが伸びてくるし、せっかくついた(ノリの)芽が流れてしまう」

海に流れたウオーターレタスが網に絡みつき、成長しているノリがとれてしまうおそれがあるのです。

ウオーターレタスの除去作業は、11月末までを目指しています。