高校生たちの“想い”がかたちに 個性豊かな鉄道模型が勢ぞろい「全国高等学校鉄道模型コンテスト」を藤田大介アナウンサーが独自取材
全国の高校、156校の生徒たちによる鉄道模型のコンテストが、8月6日までの三日間、東京・新宿で開催されました。様々な学校のクラブ活動で数学や物理、それに歴史などの知識を応用し、思い思いの景色を鉄道模型の世界に表現して競い合いました。
次々に目の前に飛び込んでくる景色。高校生たちが作り上げた個性豊かな鉄道模型。その中を走行した『カメラ列車』がとらえた映像は誰も見たことのない世界を映し出しました。
藤田大介アナウンサー
「高校生たちの豊かな夢や発想を鉄道模型に詰め込んだコンテスト、全国高等学校鉄道模型コンテストです。解説は、鉄道模型に詳しく、そして、気象予報士であります、藤富郷さんです。よろしくお願いします」
藤富予報士
「よろしくお願いします。いや、すごいですね、今年の様子が。本当、大勢の方に集まっていただいているということで」
藤田アナウンサー
「小型カメラを搭載した『カメラ列車』を作られている藤富さん、今年は改良されたそうで」
藤富予報士
「実はモーターを変えたんです。ゆっくり、でも、なめらかに動くようになりました」
藤田アナ
「明らかに見られる景色が変わりますね!どんな映像が撮れるのでしょうか。早速、今年の作品を見ていきたいと思います」
生徒たちに自然や、産業、工学への興味を促し、その表現をたたえる鉄道模型のコンテスト。今年で15回目の全国大会には156校の作品が集まりました。まずは80分の1のサイズで作られた鉄道模型車輌、HO(エイチ・オー)車輌の部門。神奈川にある桐蔭学園中等教育学校の作品で、東武鉄道、日光・鬼怒川エリアで運行されている蒸気機関車「SL大樹(たいじゅ)」。プラスチックの素材の作品が多いなか、この機関車は紙にこだわって作られています。
藤田アナ
「(車両のフォルムに)丸みを帯びた雰囲気が出てますよね?紙でどうやってこの曲線を表現したんでしょうか?」
桐蔭学園中等教育学校 神谷煌希さん
「内側から骨組みみたいな補強を入れて、その上から紙を曲線に貼って、塗装をしながらヤスリがけなどをして表面をつやつやにして。紙だからこそ薄くてかっこいい部品ができるので。紙の特性を生かした素晴らしい作品ができるようにあえて紙で制作しています」
桐蔭学園中等教育学校 手塚立一さん
「プラスチックごみの問題もあるので紙で代用できるものがあるのではないかと考えています」
続いて、畳、一畳の空間に、列車が走る情景を表現する一畳レイアウト部門。カメラ列車を持って藤富予報士と藤田アナの2人が足を止めたのは・・・。鉄道の専門教育も行う、東京にある岩倉高等学校の作品。去年の夏合宿の地、広島のまちがテーマです。路面電車「ひろでん」が市街地と海岸側の宮島口をめぐります。
藤田アナ
「これ(『カメラ列車』の走行)をちょっとぜひ、藤富さん!」
藤富予報士
「ここはね、走らせたいですね。 ただ、車両が長いんですよね。(ジオラマにのせてみると)違和感しかない!カーブ(の角度が)これは厳しいな」
岩倉高校の生徒
「何かあったとき用の動力(車両)もご用意しましたので・・・使ってみます?」
藤富予報士
「それはうれしいですね。これならね!」
生徒からの助け船で急きょ、藤富さんが用意したカメラ列車の小型カメラを台車に載せ替え、それを動力車が押して走る特別編成が誕生。岩倉高校の生徒たちは、今回の制作を通じて広島で起きたこと、平和の尊さも学びました。
「みなさんで黙祷いたしましょうそれでは、黙とう・・・」
取材当日、8月6日の朝、コンテスト会場の作品を前に、原爆の犠牲者に黙祷を捧げる生徒たちの姿がありました。
岩倉高校 小島健太郎さん
「広島に合宿でお伺いした際に、広島平和記念資料館や原爆ドームにお伺いして当時の被爆状況などを詳細に学びました」
続いて、モジュール部門。定められた規格のボード上に線路と建造物などを配置します。リアリティーを追求したり、想像の世界をかたちにしたり、作品ごとに表現はさまざまです。長野にある松本秀峰中等教育学校の作品です。地元の「信州辰野ほたる祭り」を再現、明かりをともして並ぶ屋台や、幻想的に輝くほたるの淡い光に思わず見入ってしまいます。
松本秀峰中等教育学校 西谷優希さん
「いまの都市化が進む社会では(この情景は)なかなか見ることの出来ないタイムスリップしたようだったので それを再現してみたいなということで制作しました。約1万匹のホタルを毎年6月の中旬に見ることが出来るのですが、みなさん一度は辰野町のホタルを見に来てホタルの美しさを見てもらいたいなと思っています」
こちらは東京にある共立女子高等学校の作品。地理研究部のメンバー8人が、古都・鎌倉の秋のようすをプラスチックの素材を使い、手作りで再現しました。あるメイクアイテムがとあるものを表現する材料として使われていました。
共立女子高校の生徒たち
「ススキのような茶色の草なんですけど、実は女子高生ならではの・・・つけまつ毛を使用しているんです。このカーブの感じがちょうどいいので」
共立女子高校 鏑木祐香さん
「建物に興味があるのでデザインを学べたらと思っています」
共立女子高校 宗野麗未さん
「彫刻家になるという夢があります。 これよりもさらにスケールの大きい作品を作りたい」
モジュール部門の展示では各学校の作品を接続し、列車をぐるっと走行できるのもこの大会ならではの醍醐味です。
■全国高等学校鉄道模型コンテスト2023全国大会
【HO(エイチオー)車輌部門】最優秀賞 岡山理科大学附属高等学校 科学部
【一畳レイアウト部門】最優秀賞 岩倉高等学校 鉄道模型部
【モジュール部門】文部科学大臣賞 灘中学校高等学校 鉄道研究部(2年連続)