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愛子さま、きょう大学卒業 指導教授が明かす愛子さまの「粘り強さ」と「朗らかな笑顔」

2024年3月20日 9:30
愛子さま、きょう大学卒業 指導教授が明かす愛子さまの「粘り強さ」と「朗らかな笑顔」

天皇皇后両陛下の長女・愛子さまは20日、学習院大学文学部日本語日本文学科を卒業されます。それに先立ち、およそ9か月にわたり卒業論文の指導を担当してきた教授が、愛子さまが論文作成の中で見せられた「粘り強さ」と、場を和ませる「朗らかな笑顔」について語ってくれました。

■呼び名は「敬宮さん」

去年の3月からおよそ9か月間、愛子さまの卒論の指導にあたったのは、日本中世文学を専門とする学習院大学文学部日本語日本文学科の中野貴文教授。授業や指導の際には、愛子さまのことを「敬宮(としのみや)さん」と呼んでいたと明かし、愛子さまの印象については、繰り返し「朗らか」と語りました。卒業論文の指導中だけにとどまらず、ゼミ演習の授業の中で他の学生の発表等を聞く姿や、質問や意見を述べられる場面でも、そのようなことを感じたといいます。またそういった場面での愛子さまの表情は「笑顔」が多かったということで、「穏やかな笑顔の愛子さまというのが一番印象に残っている」と話しました。

■締め切り直前まで粘る愛子さまの「覚悟」

「穏やかな愛子さま」は、授業に取り組まれる様子はどのようなものだったのでしょうか。学習院大学では、ほとんどの授業で、終了後、出席した授業の感想を提出することになっているといいます。中野教授によりますと、愛子さまは「提出期限の直前まで考え抜かれて回答・感想を書いてくださることがほとんど」で、着眼点の新しさや論の確かさだけでなく、「最後まで自分の言葉で、多くのことに視野を目配せしながら、配慮した文章を書こうとするその真摯な姿勢が非常に印象的」だったということです。そんな「粘り強さ」の例として中野教授は、自らの授業の感想の回答の締め切りを2日後の午後11時59分までに設定したところ、愛子さまは午後11時台ギリギリに提出されたこともあったと明かしています。「しかも内容は素晴らしいんです」と、教授は頬を緩ませました。

卒業論文や学期ごとのレポートについても「同じ事がいえた」そうで、中野教授は「愛子さまがこだわられた点でいうと、やはりとにかく最後の最後まで自分の言葉で少しでもよりよくするために時間をかけられたことだと思っています」と話します。そして「最後の最後、締め切りの直前まで粘って、自分の論文をより良いものにしようという、そういう覚悟というか、粘り強さというのが最も印象に残っています」と改めて強調しました。

■愛子さまの“自虐発言”「私、返事が遅いんですよね」に大笑い

そんな「粘り強い」愛子さまの第一印象はというと「明るい人だな、明るい学生だな」というものだったそうです。卒論指導の当初は、愛子さまへの指導に緊張していた部分もあったという中野教授ですが、そうした中、愛子さまがあえて場を和まそうとされたと感じたことがあったそうです。授業の感想などの提出を締め切り直前まで粘る姿勢を自ら話題にし、「私、返事が遅いんですよね。私の返事が遅いって、先生方みんな思っているのかなと思いながら書いてます」と愛子さまが話すので、中野教授も思わず笑ってしまい、続いて愛子さまも笑われたといいます。それによって中野教授も緊張がほぐれ、その後の指導は和やかかつ相互に語り合えるものになっていったと振り返りました。

また中野教授は、愛子さまに対し、ほかの学生と同じように特別なことはしないように接し、また特別な方だからと思ったことも少なかったと語りました。それは「とても明るく気さくな方で、敬宮さんの方がそのような空気を作ってくださった面も大きかった」と理由を明かします。

■研究対象には愛子さまと同じ「内親王」の歌も

愛子さまが「中世の和歌」を卒業論文のテーマに選んだきっかけは、授業の中で中世の歌集や歌合わせを学ばれたことが大きかったということで、その研究の対象には内親王や帝といった愛子さま自身と直結するものもあったといいます。愛子さまは卒業論文の執筆に当たり、研究室での教授との個別面談を、去年の3月から12月までのおよそ9か月間、2週間に1度のペースで、1回につき30分~1時間ほど行い、面談では論文の方向性やスケジュールなどを詰めながら進めていかれたということです。

愛子さまは、論文指導した学生の中でも最も多く面談を重ねた1人だったということで、中野教授は「学問に対する真摯な態度」が表れていたと振り返ります。そして愛子さまが完成された卒業論文を、「和歌文学研究の今日的課題をよく理解された上で、さらにご自身のオリジナルな見解を加えられた素晴らしいもの」と評価しました。

■「大学院はいまのところ受けるつもりはありません」

4月から日本赤十字社に入社される愛子さま。大学卒業後の進路に関して、中野教授は「様々ないろいろな報道がなされている中で、私の方が聞くのもどうかなという思いがありましたので、実は私の方から伺ったことは一度しかありません」と明かしました。それは大学院入試の締め切り前のこと。中野教授が、指導教員として大学院受験の意思があるかどうかを確認したところ、愛子さまは「大学院はいまのところ受けるつもりはありません」というように答えられたということです。

■何度も議論した「古典文学を受け継ぐ」ということ

中野教授は、授業や卒論指導の中で、愛子さまと「古典文学を受け継ぐということがどのようなものであったのか」という議論を重ねたといいます。「古典文学を受け継ぐというのは、ただ守るということではなくて、今の私たちの表現だとかそういうものに生かすこと」ということが何度も話題に上ったと記憶しているという教授。「文学やしきたり、あるいは皇室そのものが長く受け継がれたこと、それがどのように受け継がれたのか学ばれたと思いますのでそれが生きるといいなと思っている」と、今後の皇室の一員としての愛子さまの活動に対し、古典文学教員としての思いを寄せました。

最後に、中野教授は「この1年間、愛子さまと学び、研究を深めることがとても楽しみで、そのことに関して何より感謝を伝えたい」と語り、「笑顔が印象的だという話をしましたけれども、これから先もそのようなお姿を拝見できればいいなと思っている」と愛子さまの今後にエールを送りました。