鳥島近海の“謎の津波”わずか1時間半で14回津波発生―小規模な津波が重なり合い増幅
去年10月、伊豆諸島の鳥島近海で発生した原因不明の地震と津波について、わずか1時間半の間に小規模な津波が14回発生、この波が重なったことによって津波の高さが増幅していたことが東京大学などの調査によって明らかになりました。
伊豆諸島の鳥島近海では去年10月、地震が多発し、9日の早朝には関東から沖縄にかけての広範囲に津波が押し寄せ、伊豆諸島・八丈島で高さ70センチの津波を観測しました。
当時、津波を引き起こすような規模の地震は確認されておらず、津波が発生した原因の解明が進められています。
そんな中、東京大学などの研究グループは、南海トラフで起きる地震や津波の観測を目的として、紀伊半島から四国の沖合に設置されている海底水圧計などで観測された津波と地震波の波形記録を解析しました。
その結果、鳥島近海では10月9日午前5時ごろから午前6時半ごろにかけてのおよそ1時間半の間に、小規模な津波が14回立て続けに発生し、その津波はマグニチュード4から5程度の地震と同時に起きていたことが分かったということです。
さらに、津波が相次いだことによって波が重なり合ったため、津波の高さがおよそ2倍に増幅していたとみています。
研究グループによりますと、小規模な津波が重なることで津波の高さが増幅するのは珍しい現象で、この現象を観測・立証したのは世界で初めてだということです。
鳥島近海ではその後、火山噴火によるものとみられる軽石が採取されていますが、地震や津波との関連については、まだわかっていません。
東京大学地震研究所の三反畑修助教は、鳥島近海の地震と津波も海底火山と関連している可能性があるとしていて今後、地震の揺れのデータと津波波形をさらに詳しく解析し、海底変動現象のメカニズム解明に向けて研究を進めていきたいと話しています。