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“町を出ても行き場ない…”被災してもとどまる理由 石川・珠洲市から鈴江奈々キャスターが中継

2024年1月11日 17:51
“町を出ても行き場ない…”被災してもとどまる理由 石川・珠洲市から鈴江奈々キャスターが中継
能登半島地震の発生から11日目となりました。石川県内の犠牲者は213人にのぼっています。震度6強の揺れがおそい、5300人以上が避難を続ける珠洲市から鈴江奈々キャスターに伝えてもらいます。

珠洲市正院町に来ています。珠洲市では98人が亡くなり、3人の方の安否が今も分かっていません。

こちらの地域では多くの家屋が倒壊していて、今もこの地域では電気も水道もつかない状況が続いています。

この正院町は数百年の歴史ある寺や神社が多い地域ですが、そのほとんどが倒壊するなど大きな被害が出ています。

こちらの「高福寺」は、およそ400年の歴史があるそうですが、元日の地震で倒壊してしまいました。

そして、元日には一番いい飾りをして参拝者を迎えていたそうですが本堂もつぶれてしまい、代々受け継いできた仏像も取り出せていないということです。

この町で生まれ育った80代の男性は「崩れたお寺を見ると『涙が出る思い』」と目を潤ませていました。

65歳以上の高齢者が人口の5割を超える珠洲市。

近くの小学校は避難所になっているのですが、ご高齢の方々にお話を伺うと、「大きな避難所の環境になじめない」「目が不自由で避難所では迷惑をかけてしまうから」と、多少自宅が損壊していても、あえて自宅で避難を続ける方もいらっしゃいました。

避難所などを通じて食料や水は確保できているそうですが、「とにかく電気がつかないと気持ちまで暗くなる」と、まずはライフラインの復旧を望まれていました。

また、親子でコメ農家を営む70代の女性からはこんな声も聞かれました。

--地震がずっと続いているから怖くないですか
正院町の住民
「怖いけども行くとこないし、向こう(避難所)行ってもなかなか思ったようにならないし」
「ここがだめになるまでここにおるしか仕方ない」
「この町なくなったら、さみしいなと。ほとんどの人みんな子供やら娘やらそこに行ってしまうし」
「いいな~おらもどっか~と思って誰のところも頼るところもないし、情けないほんとに」

この場所で避難生活を続ける理由について、「田んぼを守りたい、復旧できるかわからないけれど、この土地を離れることはできない」と話し、いま望むことはなんですかと伺うと、「物をとりだしたり片付けたり、ボランティアさんが来てくれたらありがたい」と言っていました。

石川県や珠洲市災害ボランティアセンターでは、ボランティアの事前登録が始まっています。

こちらのお寺には「踏み出せば、その一足が道になる」という言葉が書かれています。

今はまだ、多くの人が現地に入って復旧のお手伝いの一歩を踏み出す時ではありませんが、復旧の道を切り開くには、確実に多くの力が必要とされています。
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