バイデン大統領の来日に向け…ベテラン警備犬を“新人”巡査長が訓練
バイデン大統領の来日に向けて、都内では警備が強化されています。テロ防止に欠かせないのが警備犬ですが、どのような訓練をしているのでしょうか。
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おなかを見せてじゃれる、無邪気な様子のラブラドールレトリバーは、警視庁・警備犬4年目のマティス号(オス・5歳)です。
警備犬は人の約5000倍といわれる嗅覚を使って、災害現場での人の捜索のほか、爆発物を探し出すことができ、テロの未然防止には欠かせない存在です。マティス号も東京オリンピックの警備など、これまで100回以上の出動経験を持つベテラン警備犬です。
そんなマティス号とタッグを組むのは、新人ハンドラーの佐藤宏也巡査長(31)。ハンドラーは、警備犬と日々訓練をともにしながら、犬の能力を最大限に引き出す、いわば「相棒」です。
指導歴15年以上の山川良博指導官のもとで日々、訓練を積んでいます。高さのあるブロックやロッカーがずらりと並ぶ部屋で、山川指導官が爆発物のにおいを染みこませた布を隠しました。テロ防止において最も重要な「臭気選別」です。
警備犬は、爆発物のにおいを検知すると、その場にしゃがんでハンドラーに合図しますが、マティス号は見つけることができるのでしょうか。
部屋をくまなく嗅いでいくと…制限時間内に、すべて見つけ出すことができました。
しかし――
警視庁 山川良博指導官(70)
「犬にどんどんリードしてるだけでなく、もう少し自分が思っているように嗅がせていかないと」
犬の嗅覚だけでなく、ハンドラーが適切な指示を出すことも重要です。
山川指導官は、「(訓練所で)10できたことも、外に出た場合は6~7でれば一番ベスト。それを10まで引き上げようとするのがハンドラー」と話します。
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そして、迎えた初めての任務は「クアッド首脳会合に向けた警戒」です。休日で多くの人が行き交う東京・JR品川駅で、たくさんのにおいの中、爆発物などの不審物がないか確認するのが今回の任務です。
訓練通り、佐藤巡査長がマティス号をリードしながら、しっかりと手で示して、ロッカーを検索します。
佐藤巡査長
「嗅いで、そう!」
その後も、郵便ポストや証明写真機の下をくまなく探し、駅構内の警戒を無事に行いました。
山川指導官の評価は「グッド」でした。
佐藤巡査長は、「ちょっと緊張したんで、マティス号に引っ張ってもらいました。今後も警備が続きますので、マティス号と一緒に頑張りたいと思います」と意気込みを語りました。