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“無料案内所”風の展示に苦情殺到し撤去 「多様な目線がないと…」問題の本質は?

2022年6月16日 0:58
“無料案内所”風の展示に苦情殺到し撤去 「多様な目線がないと…」問題の本質は?

福岡市にあるPARCOが設置したイベントの案内ブースが「風俗店の無料案内所のようだ」と苦情が殺到しました。その中では下着姿の女性のイラストや「オプションは別途ご相談ください」などの文言も並び、撤去される事態に発展しました。このような問題が頻発するのはなぜなのでしょうか…。

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15日夜、東京・歌舞伎町では、カラフルな文字が並ぶ風俗店の「無料案内所」が多く見られました。こうした「無料案内所」を模した展示で批判が相次いだのが、商業施設、福岡PARCOに設置されていた展示です。

カラフルな壁に「無料案内所」と書かれ、その内部には下着姿の女性の絵にそえて、「刺激担当 当店ナンバー1パル子」「ワンランク上のキャストが、濃厚PLAY!!!」「オプションは別途ご相談ください」といった言葉も書かれていました。

この“案内所”は、今月11日から開催されているアートイベントを紹介するために従業員やアーティストなどが制作したといいます。1階の入り口付近に堂々と設置され、飲食店やアーティストなどのラインアップについては、「本日の出勤キャスト77名」「パルコ感覚なら、初めてのご来店でも、ご指名なく遊べる。」などと紹介していました。

“無料案内所”に入り写真を撮影した人は「過激な言葉、性的な言葉を使って性風俗店らしい言葉がちりばめられていた。作家を思うと無料案内所は受け入れられません」と話していました。

担当者によると、今回の件を受け、作品を取り下げたアーティストもいるといいます。

また、イベント初日に案内所に入ったという人は「けっこうせめてるなという印象は受けました。アーティストさんや展示物は全く悪くないので、ちょっと残念かなとは思いますね」と話していました。

批判が相次いだことを受け、福岡PARCOは謝罪し、14日、急きょ、この案内所を撤去しました。

担当者は「中洲へのリスペクトと直感に訴えるため生まれたデザインだった。不特定多数が利用する商業施設として、表現に行き過ぎていた部分があった」としています。

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有働由美子キャスター
「まさに辻さんの本業の分野ですが、こういう問題がよく起きるのは、どうしてなんですかね?」


辻愛沙子・クリエイティブディレクター(『news zero』パートナー)
「まず、ビジネスの場で、いまだに意思決定者が年配の男性に偏っていることが、理由の1つとしてあるかと思います。比較的、傾向ではありますけれども…」

「企画段階での倫理観はもちろんですし、意思決定のプロセスに多様な目線が取り入れられていないので、問題のある表現がそのまま世の中に出てしまうんじゃないかなと思います」


有働
「今回の件もそうなんですけれども、『女性客が入る時にどう思うかな?』って、ちょっと引っかかったりしないものかなと思いますが」



「本当にそうですね。女性ももちろんですし、子供だったり、男性でも違和感を抱く人はいるんじゃないかなと思います」

「今回だと、単に性風俗的なものをモチーフにしているから問題というわけではなく、今回の展示の趣旨に本来関係のないこのデザインコンセプトなので、それを面白おかしく目立たせるために使ったことと、それを公共性の高い場所に置いたのが、問題の本質なんじゃないかなと思います」

(6月15日放送『news zero』より)