インフラに“身近な危険” 高速道路の老朽化を進める「2つの要因」は? 修復への“聖戦”できるアプリも【なるほどッ!】
埼玉・八潮市の道路陥没をもたらしたのは、下水道管の破損でした。下水道管や高速道路といったインフラの老朽化は大きな課題となっていて、身の回りにも危険が潜んでいます。経年劣化したインフラの早期発見に向けて、私たちには何ができるのでしょうか?
そこで今回の「なるほどッ!」では、「道路陥没“身近な危険” どう対応?」をテーマに解説します。
山崎誠アナウンサー
「去年12月、東京・足立区。大きな鉄骨が横たわっています。長さ11メートル、重さは1.5トンです。高さ4メートルの京成電鉄の高架橋から落下したものです。4メートルというのは、家の2階の窓や天井くらいの高さです」
「現場は住宅が密集する地域で、通学路にもなっていました。ケガ人はいなかったですが、大惨事となる恐れがありました」
「京成電鉄によると、この高架橋が建設されたのは48年前の1977年。定期的に点検が行われていたということですが、事故前に実施したのは一昨年の6月。原因は経年劣化とみられていて、同じ高架橋の反対側の鉄骨でもボルトの欠損が確認されたということです」
山崎アナウンサー
「同様の事故は他にも起きています。2020年、東京・練馬区を走る西武池袋線の高架橋でもコンクリートの一部、約1.2キロが歩道に落下しました。これも原因は経年劣化とみられています」
「日本テレビのある新橋駅周辺にも、レンガ造りの高架橋があります。造られてどれくらい経ったと思いますか?」
鈴江奈々アナウンサー
「もう50年以上は経ってそうな気がします」
刈川くるみキャスター
「40年くらいですか?」
山崎アナウンサー
「40年や50年でもかなり年月が経っていると思うでしょうが、レンガ造りの高架橋の一部は100年以上たっているそうです。多くの日本のインフラは、造られて50年以上経っているものが多いです」
「背景には1950年代~1970年代の高度経済成長期があります。当時は、日本を豊かにするために一気にインフラ(の建設)を広げていった時期です」
山崎アナウンサー
「例えば高速道路。NEXCO東日本によると、5年後の2030年には全国の約8割が建設から30年以上がたち、老朽化していくと言われています。高速道路の老朽化は、建設から年数がたつ経年劣化もありますが、ここ最近老朽化を加速させる2つの要因があります」
忽滑谷こころアナウンサー
「夏の暑さとかですかね?」
山崎アナウンサー
「暑さ、日差しの強さということですね。鉄道のレールが少し歪むということはありますが、高速道路についてはそれが経年劣化に影響することはありません」
刈川キャスター
「温暖化が進んで大雨の災害が増えているので、その積み重ねで地盤が緩んでしまっているのでしょうか?」
山崎アナウンサー
「大雨や地震の災害も突発的な事故には影響があるかもしれませんが、経年劣化を加速させているものではありません。正解は、物流が増えてトラックが増えていることと、1台あたりの運搬量も増えていることです」
鈴江アナウンサー
「負荷がかかり続けている、それが増えているということなんですね」
山崎アナウンサー
「建設当時の想定よりも負荷がかかって老朽化を加速させています」
山崎アナウンサー
「インフラの経年劣化というのはかなり大規模な印象がありますが、私たちに何かできることはないか調べました」
「もし道路の異常を見つけた場合、24時間無料でつながる緊急ダイヤルがあります。番号は#9910。登録すればLINEからも使用できます。道路の管理者に直接、路面に開いた穴、ガードレールや標識の損傷などを報告できます」
「道路の管理者は迅速に対応することで安全を確保するということです」
鈴江アナウンサー
「LINEなら写真なども報告できるということですかね」
山崎アナウンサー
「画像を送ることもできます。画像を使った情報共有でいうと、インフラ老朽化の早期発見に協力できる『TEKKON』というアプリもあります」
「まちなかにあるマンホールなどをスマホで撮影して、アプリにアップロードします。たびたび、『インフラ聖戦』などのイベントが開催され、例えば『1000枚撮影しよう』といったミッションが与えられ、それをクリアしながら楽しみます」
「老朽化しているもの限定ではなく、『マンホールを撮影してみましょう』というものもあります。アップロードした写真を自治体と共有し、万が一ヒビなどが見つかった場合は修復の手助けになっていきます」
「私たちもプレーしながら関われます。マンホールだけではなく電柱なども対象になっています。全国広いので、業者がなかなか全部点検に行けません。その部分を私たちがユーザーになって協力するという形です」
鈴江アナウンサー
「生活している圏内で撮影することで、身近に潜む危険やリスクを私たちが共有することにもなりますし、それを修理する方向にもっていくきっかけにもなります。とてもいい取り組みですね」
山崎アナウンサー
「相互でできる楽しみもありますね。TEKKONのインフラ聖戦の画面には、地図が表示されています。関東ではマンホールの投稿数は230万7217枚あります」
「同じマンホールを撮った重複もありますが、達成率は群馬県で43%、神奈川県で63%。それぞれ、ユーザーが投稿した写真によってカバーされています。こういう取り組みによって事故の防止につなげることもできます」
「日本のインフラ、特に下水道は海外の方もうらやむほど整備されてきました。その一方でこうした老朽化などのリスクが潜んでいます」
(2025年1月29日放送 news every.「なるほどッ!」より)