【能登半島地震1年】進まない復旧と復興…被災地住民「少しでも前向きでいい年に」
石川県との県境に近い氷見市姿地区の長福寺では、地域住民が除夜の鐘をついて、復興を祈りました。
地震で大きな被害を受けた姿地区では現在も復旧工事が続いています。
高齢化が進んでいることもあり、地震後、3割の世帯が地区外へ転出していて、コミュニティの維持が課題となっています。
住民らが再会「普通に過ごせたらそれで十分」
この日、地震で姿地区を離れた女性が鐘をつきに訪れました。
「どうしとるがかなーと思って」
「何もかもが、もう、ほんとにほんとに目いっぱいやった」
「皆さんのやさしさと、こうして呼んでいただいて、うれしかった、ありがとう、うれしかった」
この女性は能登半島地震で住宅が半壊し、姿地区での生活をあきらめ、今は氷見市の別の場所で暮らしています。
「こんなことになるとは夢にも思わんかった」
「また会いましょうね」
「(2025年は)何も起こらないで、普通に過ごせたらそれで十分です」
山本譲治区長「復興とか、いろんなことを思って、鐘つかさせていただきました。氷見のほう、姿とか、いろんな所ね、地震で災害起きてますけども、これを、ほんとに、忘れてほしくないなという思いがあります」
北鹿渡文照住職「どんなに苦難な時でも、きっと、希望は、希望の光は、やってくる。希望を持って、新しい第一歩を踏み出していきたい」
進まない復旧と復興に 住民は
地震のつめ跡が残る氷見市。
発生から1年の元日の朝は、静けさに包まれ、冬の空が広がっていました。
総会姿地区で3日に開かれた新年の住民総会には、23人が出席しました。
総会では、生活や地区の再建について意見を交わし、改めて将来に向き合いました。
住民「家を壊したなら、地盤改良に何パーセントか(行政に)出してほしい。建築のための補助金じゃなく災害の補助金を出してくれってことを言っている、それを(区長が)言うてやらんなん、(行政は現状を)知らんぞ」
区長「わかった」
思うように進まない復旧と復興。
山本区長の心境は複雑です。
山本譲治区長「ここ1年から3年で復興するのはちょっと無理やと思う。自治会としてお金の問題があるし、お金がないことやからやっぱり国に相談したりとか県に相談したり市に相談せんなん。この間、国交省の人が来てたけど、いいがにしますって言ってて、ぜんぜんそこから話がないし」
新年に願う 平穏な日々
一方、こちらは、高岡市伏木地区です。
伏木地区のなかでも液状化被害が深刻な地域では、130世帯以上が減少し、特に被害の大きかった石坂と中道の自治会では、世帯の4割近くが減りました。
被災家屋は次々と解体されてあちこちに空き地が広がり、下水道の本格的な復旧工事も始まったばかりです。
元日、被災地域を見下ろす伏木神社には、多くの住民が参拝に訪れていました。
上野アナ「地震から1年経ちましたが去年どんな1年でしたか?」
「(地震を)ずっと忘れることなく過ごしていました。だからきょうの4時10分が怖い。とにかく地震がありませんように。それさえなければ、みんな健康で元気で過ごせるかなと思います」
「無事に1年が過ぎるようにと強く思って願いました」
「まだまだ不安が残っているが、でも今年は少しでも前向きでいい年になるように、この天気のようにみんなで頑張っていきたいと思う」
復興願い 伝統の唄と踊り
神社には、5月に行われる伏木曳山祭の関係者もー。
例年、曳山が通る道路の多くは、液状化被害で今も凸凹のままです。
米谷和也総々代「みなさんに少しでも元気を分かち合えるような1年になるように、我々も伏木の花車として力を尽くしていきたいなと思っています」
この日、伏木地区の各団体の関係者が集まった恒例の賀詞交歓会は、「震災復興」「がんばろう伏木」をテーマに開かれました。
「帆船と呼ばれる船と蒸気船の両方が併用して運用されている。伏木の港の栄え方が分かると思う」
震災を機に市に寄贈された写真を通して、港町として栄えた歴史を振り返りました。
そして、住民を元気づけようと伝統の唄と踊りが披露されました。
「震災からの復興の帆柱を立てたいと10年ぶりに披露させていただきます」
「今年1年が大事な年」
住民が地区外へ転居し、地域のつながりはもちろん、自治会の運営も難しくなっています。
最も被害が大きかった石坂自治会・二口勇平会長「少しずつ帰ってきて家を建てられる方もおられますので、自治会活動も活発化すればいいなと思います。住民の笑顔が戻ってくることを願っております」
伏木校下自治会連絡協議会・坂廣志会長「少しずつ皆さんの気持ちも落ち着いて、とにかく復興に向けて頑張ろうという気持ちが強く芽生えているのではないか。今年はそれを(復興を)さらに加速させて今年1年が大事な年になるのではないかなと思っている」