【方言】の魅力を伝えたい…セリフがすべて鹿児島弁の演劇 出演した小学生の反応は?
鹿児島弁の温もり伝える劇団「げたんは」
(劇団員)
「手をきんごきんご(きれいきれい)洗ってはいっくいやいな」。
劇中のセリフは、すべて鹿児島弁です。
上演しているのは鹿児島弁劇団「げたんは」。30代から70代の女性を中心に、約30人が活動しています。この日は、鹿児島弁の名前が付いた料理を出す食堂が舞台の作品を上演しました。
(劇団員)
「よんごひんご(くねくね)スパゲッティな、よんごひんごスパゲッティはよーんごひーんご(くねくね)しながら作っどごわんど」
(児童)
「全部楽しかった。ひったまがった(ビックリした)」
子供たちの反応も上々だったようです。
未経験者が伝える「鹿児島弁の魅力」
若い世代に鹿児島弁の魅力を伝えたい。この日は、方言週間フェスティバルに向けた練習が行われていました。
大きな声と身振りでの熱演。ですが、劇団員のほとんどが未経験者です。
(入団4年目の劇団員)
「ド素人です。ちょっと面白い世界かもと思って、普通の日常にないことを求めて1回試しにと思ったらそこからハマってしまった」
(入団8年目の劇団員)
「毎日これが生きがいになっている。自分が楽しんで劇を通して仲間作りもできるし、方言も伝承できるし最高。よかぶってね(恰好つけてね)かごんま弁で言わないのよこの人は…」
休憩時間も笑いが絶えない劇団員。みんな仲良しです。
背水の陣で挑む方言の伝承
今回、げたんはがフェスティバルで披露する劇は小学生が主役。小学生5人も練習に参加しました。慣れない演技に悪戦苦闘です。子供たちを何よりも悩ませていたのは「鹿児島弁のイントネーション」でした。
(劇団員)
「どげんしてのっと?って言ってみて。どげんして乗っと?って」
子供たちも方言の魅力を伝えるため懸命に努力します。
(小学生・別府佳奈さん)
「鹿児島弁は少しは知っていたけど知らない言葉もあって覚えるのが難しかった。家でもお母さんが鍛えてくれた」
今回、フェスティバルで子供たちも参加した劇を上演する理由。そこには鹿児島弁が使われなくなっている現状がありました。
(鹿児島弁劇団げたんは・種子田 幸廣代表)
「私たちがあきらめてしまうと子供たちの方言離れを食い止める人はいないのでは?と思ったので私たちは背水の陣で頑張らないといけない」
迎えた当日…果して成功なるか?
迎えたフェスティバル当日。本番前の会場には準備をする団員たちの姿がありました。直前までリハーサルをして最終調整です。
本番。舞台袖でそわそわする子供たちでしたが…。
(小学生)
「こていっど?おいも父ちゃんのごと、立派な船乗りになろうと思っちょっど」
劇団と子供たちが披露したのは約300年前、ロシア語と鹿児島弁の辞典を編纂した薩摩の少年ゴンザの物語。父親に憧れて船乗りを目指すゴンザは、仲間たちと船に乗り込みます。
船頭である父親にも認められ順調に見えた航海でしたが…。
(小学生)
「嵐で船の帆もねこんなったし。風も吹かんでね。どこを流されちょったろかいね。腹が減った。もう何日も食っちょらん」
激しい雨風に襲われ漂流したゴンザと仲間たち。クライマックスでは何とかロシアに到着。会場からは割れんばかりの大きな拍手が送られました。
小学生「鹿児島弁が大好きになった」
全力で演じきった子供たち。終了後の舞台袖には劇団員と熱演を称えあう姿がありました。
(主人公役の小学生)
「最初はめっちゃ緊張したけど途中から夢中になって緊張しなくなった。難しかったけどはきはき言えてよかった。(鹿児島弁)が好きになりました」
(鹿児島弁劇団げたんは・種子田 幸廣代表)
「大丈夫かなと思ってね。よかった、本当に子供たちには感謝しかない。嬉しすぎて涙が出た。こうして具体的にこの4か月間で成果が出ているのを目の当たりにするとびっくりする。嬉しすぎて」
独特の響きやリズムを持つ鹿児島弁。温かいコミュニケーションを紡ぐ方言ならではの魅力を後世に伝え続けます。
(KYT new every.かごしま 11月16日(木)放送)