回覧板のデジタル化などあの手この手「地域住民で組織する“自治会”の現状」加入率の低迷が課題《長崎》
地域住民で組織する “自治会”。
加入率の低迷が課題となる中、暮らしやすい地域にするために新たな取り組みが進められています。
佐世保市の住宅街にあるごみステーション。
家庭から出された資源ごみの分別をやり直しているのは、この地区の自治会「西天神町公民館」のメンバーです。
(西天神町公民館 内海 俊朗 副館長)
「油はだめ。悪いものが入っていたら外している。種類別に分ける(看板を)設置した」
1973年に発足した佐世保市内でも最大規模の自治会で、約2000世帯が加入。
ごみステーションの管理のほか、登下校時の見守り、通学路の草刈りなどをボランティアで行っています。
ただ…
(西天神町公民館 内海 俊朗 副館長)
「役員たちが、結構な年齢になっている」
中心的な役割を担う役員のメンバーを60代から80代が占めていて、若い世代の役員集めに苦労しているといいます。
(西天神町公民館 内海 俊朗 副館長)
「行事などの準備が若い人でないと、できないこともある。体力的にちょっと(きつい)。若い人が入ってもらえれば一番いい。ボランティアをする人を探さないといけない」
地域住民で組織する “自治会”。
清掃や祭りなどのイベントの企画や防災、防犯活動など、まちの課題や問題を解決するため活動をしています。
少子高齢化や過疎化、若い世代の自治会離れなどで “自治会の数” そのものが全国的に減っていて県内でも、この20年ほどで330を超える自治会が解散しました。
(長崎市自治振興課 山田 尚登 課長)
「少子高齢化の進行、単身世帯の増加、ライフスタイルや価値観の多様化など、社会の取り巻く状況が変化しているのが要因」
自治体だけでなく、そもそも自治会に加入する世帯が減少。
県都・長崎市では、36年前の平成元年には9割が加入していましたが、
去年は、約62%にまで減少しました。
(長崎市自治振興課 山田 尚登 課長)
「自治会の存続が難しくなると、万が一の災害のときに安否確認など、自治会が中心となってしているので、支障が今後出てくるのではないか。
ごみステーションの管理を自治会に協力してもらっているケースもあるので、管理ができなくなったりするのではないか」
市は、加入促進や活動の負担を軽減する取り組みを、今年度から本格化しています。
そんな中、去年9月からスタートしたのが…。
(長崎市自治振興課 山田 尚登 課長)
「回覧板のデジタル化です」
スマートフォンなどに登録した専用のアプリで、長崎市のイベントのお知らせや、自治会の広報誌を回覧するサービスです。
30ほどの自治会を対象に試験的に導入していて、今後、意見を集約した上で従来の紙の回覧板と併用しながらの導入を検討します。
(長崎市自治振興課 山田 尚登 課長)
「紙で配布するときは、一旦自治会の役員のみなさんが作業して回ってくるので、少し時間がかかるケースもある。
(電子回覧板は)少し拡大しながら見られる。早く情報が入手できるのがメリット」
さらに自治会活動の周知に向け、活動に積極的な企業を市が認定する制度も立ち上げました。
(長崎市自治振興課 山田 尚登 課長)
「担い手が少ない中で支えるような、課題解消につながるような仕組みや取り組みをしっかりと進めていきたい。
地域のコミュニティを形成する中で、活躍する人をしっかりとまち全体で支えるような取り組みを継続していきたい」
50年以上にわたって続く長崎市の「県営深堀団地第一自治会」。
恒例の「もちつき大会」には今年も、子どもから高齢者まで約80人が参加しました。
(参加した子ども)
「ぺったんぺったんするのがよかった、きなこ味(で食べたい)」
全360世帯のほとんどが、県営団地に暮らします。
(県営深堀団地 第一自治会 中尾 悟 自治会長)
「(これまで)自治会加入者が100パーセント。
運営に必要な資金が、いろんなイベントをするにしても絶対条件。
生活面、環境面の改善をしていくためには、自治会が必ずいる」
集めた会費で、地域のイベントのほか、団地内の管理や修繕を行い、快適な生活環境を整えてきました。
役員として活動する30代から40代の若手も多く、次世代の活動に期待を寄せています。
(県営深堀団地 第一自治会 中尾 悟 自治会長)
「今まで取り組みを継続してもらって、次の世代のカラーを出してもらい運営してもらうのが一番いい」
(20代の自治会員)
「引き継いでいけるなら、より深堀というまちが良いまちになるのでは」
進む、“少子高齢化” や “災害の激甚化”。
自治会の意義や、役割を改めて見直すことが必要です。