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3年間の運転停止を余儀なくされた発電所 去年の台風7号による大雨により発電機や制御盤などが全て浸水 復旧に向けた本格的な工事始まる 鳥取県鳥取市佐治町

2024年8月7日 18:30
3年間の運転停止を余儀なくされた発電所 去年の台風7号による大雨により発電機や制御盤などが全て浸水 復旧に向けた本格的な工事始まる 鳥取県鳥取市佐治町

台風7号による大雨の影響で鳥取県東部を中心に被害が出てから、まもなく1年です。特に被害が大きかった鳥取市佐治町では、県営の発電所が浸水。復旧に向けた本格的な工事が7月下旬から始まりました。

被害を受けたのは鳥取市佐治町にある佐治発電所。12か所ある県営の水力発電所の一つで、佐治川ダムなどの水を集め、落下する力で発電しています。地下40mにわたって深い穴が掘られた施設ですが、その最下層に降りてみるとー。

職員
「発電所の地下になるんですけど水没して、水位がこれくらい(頭の上)まであって。ここ一帯が水没という状態。もうドラム缶なんかは浮いて、何個かあるんですけど浮き上がって漂っている感じ」

発電機や制御盤などは、全て水に浸かりました。また発電所の目の前の道路も崩落し安全が確保できない状態に。さまざまな被害が出て、3年間の運転停止を余儀なくされました。

鳥取県企業局東部事務所 西尾寛 所長
「発電機の分解・整備や部品の取り換えをしなければならないような被害を受けました。同時に取水施設が土砂崩れによって被災して、発電所の運転開始以来例のないような被害を受けました」

佐治発電所が完成したのは、今から約40年前の1983年。大々的な起工式も行われ、当時の最新技術を詰め込み2年間かけて建設されました。最大出力は5000kWで、これは一般家庭6400世帯が1年間に消費する電力に相当。脱炭素社会を推進する上で大切な設備となっています。

被災から1年かけて機器の故障部分などの調査が終わり、7月下旬、ようやく本格的な工事が始まりました。取材した日、40m上から降ろしたクレーンで持ち上げていたのは、発電機の核となる15トンの部品。垂直に引き上げなければ故障するリスクがあるため、傾きを確認しながら慎重に作業していきました。

少しずつ部品を確かめてメンテナンスや修理・電気試験などを行う予定で、復旧までにはあと2年かかる見込みです。

鳥取県企業局東部事務所 西尾所長
「止水壁の設置や建屋入口への止水板の設置など、浸水対策の強化を図りながら災害に強い発電所作りを目指していきたいと思います」

ひとたび故障してしまうと、復旧に時間がかかるインフラ設備。年々激甚化する大雨災害にどのように対応していくのか、喫緊の課題となっています。

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