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【特集】風習?文化?『りんご畑でホルモン』『精肉店に洗濯機』 津軽に根付くグルメの謎は・・・

2024年5月8日 16:53
【特集】風習?文化?『りんご畑でホルモン』『精肉店に洗濯機』 津軽に根付くグルメの謎は・・・

この時期天気のいい日には外でバーベキューをする光景を見かけるようになりました。津軽ではホルモンなどの肉を畑で焼く「ホルモン文化」があるのをご存じでしょうか?

りんごの「ふじ」発祥の地、藤崎町。
津軽のりんご農家には昔から親しまれているグルメ文化があります。緑あふれる畑の中に建てられたテントそこからは肉が焼けるにおい・・もしかしてバーベキュー?

畑の中で地元の人たちなどが囲んでいるのは七輪。そして網の上にはおいしそうなお肉が焼かれています。津軽の農家は畑や小屋でバーベキューをする習慣があります。

お肉は地元の精肉店で買い付けたホルモンや、脂身が少なくあっさりしたサガリが定番です。

★地元の男性
「30歳になりますがずっと焼き肉をやるとしたらホルモンをどーんと、サガリもどーんと逆に他を聞かないくらい肉屋ではサガリとモツ(ホルモン)しか買わないです(カルビなどの部位は)焼き肉屋に行くと食べます。ただ、自分の家などでバーベキューをやるなら絶対サガリとモツでした」

★地元の男性
「厳密に言えば今は畑の中というより畑に隣接している小屋とか家の小屋でやっている コメ農家、りんご農家独特じゃないですかね」

この日のバーベキューは 藤崎町のまちあるきガイド団体「ふじさんぽの会」が企画した農家の1日体験ツアーの一環で行われました。参加者の中には埼玉県出身もいて初めて食べる農家の味に感動していました。

★埼玉県出身の参加者
「畑でバーベキューをしたことないです。川辺や友達の家の庭だったので、畑でやるのは初めてなので新鮮」

津軽地方にはあちこちにホルモンを取り扱う精肉店があります。平川市の水木精肉店ではこの時期9割近いお客さんがホルモンかサガリのどちらかを購入すると言います。店の1番人気はサガリ。特にバーベキューシーズンに売れるのは牛のサガリだといいます。しょう油ベースでニンニクがきいたパンチのある味が人気です。みそ味のホルモンは網の上で焼いた時に下に落ちないよう大きめに切るなど工夫もしています。

★買い物客女性
「牛タンつくねともつ(豚ホルモン)と豚サガリです それ以外あまり考えたことがない感じです。もつかサガリかです」

なぜ津軽ではホルモンやサガリが人気なのでしょうか。2019年に「平川サガリ研究会」を地元有志と立ち上げ自身が会長を務める水木精肉店の水木社長は 起源はたんぱく質が貴重だった戦前までさかのぼると言います。

★水木精肉店 水木正千代 社長
「(当時は)各家庭でブタを飼っていた。それを解体して食べる時に肉の方は売り、ホルモンなどの内臓肉は自分たちで食べていた 農作業の合間、田植えが終わった時などにみんなで集まって焼き肉をしたことがホルモン文化、サガリ文化の始まりらしいです」

多くのお客さんがホルモンを求めてやってくる水木精肉店。その下処理にはある家電が欠かせないといいます。

それは 二槽式の洗濯機です!

★水木精肉店 水木正千代 社長
「水を流しておけば二槽式なのでこぼれていくので。洗ってでた汚い水もだんだん流れていってくれます」
「これを回しながらこっちで包丁やブラシで大腸の中に入っている細かいところを取っていったりとか 洗濯機じゃないときれいに落ちない。手洗いだけだと洗いきれない。洗濯機だけだと残った細かいのが取れないのでダブルで洗う。洗濯機も二槽式でないとダメ。お店に注文して買ってます。このサイズのやつがないんです これがないと商売にならないレベルですね。メーカーはぜひ二槽式を作り続けていただきたいと肉屋はみんな思っていると思います」

丁寧な下処理には二槽式の洗濯機が欠かせない存在だったのです。

バーベキューにホルモンを食べる津軽の食文化。それは厳しい時代を生き抜いた農家から受け継がれたグルメ文化ともいえます。

★ふじさんぽの会 幸田知子会長
「りんご産業の発展と共に育ってきたホルモン文化は切っても切れない間柄なので これからも続いていくと思います」

畑で焼いたホルモンで英気を養う農家のみなさん。この時間を大切にしながら秋の収穫に向けて農作業にいそしみます。

最終更新日:2024年5月8日 19:24
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