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産卵場所まで川を下れない?9月以降の少雨で伝統の「アユ漁」に異変 鹿野川ダムの貯水率は0%に【愛媛】

2023年11月8日 17:28
産卵場所まで川を下れない?9月以降の少雨で伝統の「アユ漁」に異変 鹿野川ダムの貯水率は0%に【愛媛】

「水がない…」県内各地で9月以降の少雨の影響が出てきています。

9月から11月7日までの60日間の降水量は、松山では18.5ミリ。これは平年の8%の量で県内最も少なく、県全体で見ても平年の30%を下回っている状態です。

これは太平洋高気圧の勢力が強く晴れの日が多かった一方で、台風や秋雨前線による影響を受けにくかったことが原因です。

8日、大洲市を流れる肱川で行われていたのは、アユ漁。

肱川漁業協同組合菅田支部 水関勉支部長:
「これがオスで…魚が全然違うでしょ?これがメス」
杉本記者:
「全然違います、大きい」

水関さん:
「卵を卵を産もうとして下がってきよる時期です。一番いい時期」

この時期は例年、アユが下流で産卵するために川を下ってくる時期で、地域伝統の「瀬張り漁」で盛んにアユ漁が行われるのです。

しかし…

水関さん:
「水が少ない。普段ならもっとそのくらいある」
杉本記者:
「ここら辺までは水がある?」
水関さん:
「そうそう、流れよるんです。今年みたいに渇水じゃなかったら。4分の1か5分の1も獲ってないことなかろうか。収獲量は今までにない(くらい少ない)。水がこれだけ少なくてアユの量が獲れんなというのは、これまで記憶にない」

川の水が少ないために、アユが川を下ることができなくなっているのではないかといいます。

水不足の影響は、ほかにも。

肱川漁業協同組合菅田支部 矢野貞美さん:
「大きさは今年は無茶苦茶ムラがある」

アユは石につく苔を食べて夏場に大きくなりますが、今年は夏場も川の水が少なく、苔が育たたなかったため、アユが十分に大きくならなかったとみられています。

矢野さん:
「産卵場所まで降りるんじゃろうかいう心配がある。来年また…これが下がって産卵場で産卵をしてまた来年上がってくるから、その分が下がらないからどうなるんだろう」

水関さん(アユ漁歴55年):
「金曜日が雨と言いよるでしょ。それをみなさん最後の期待をしてるんじゃないかと思うんですよ。金曜日の雨を期待して最後の漁じゃな。もう願うだけよ、せめて10ミリ20ミリの雨が降ってくれたら何もかも潤うんだけどな」

9月と10月の降水量が観測史上最も少なかった大洲。漁をしていた菅田地区のおよそ10キロ上流にある鹿野川ダムは…

杉本記者:
「あちらをご覧ください。あの石造りの橋、普段は水に沈んで見えないということなんですが、今は橋の全長が姿を現しています」

鹿野川ダムの主な役割は「治水」で、肱川に流れる水の量を調節することで洪水を防ぎ、渇水の時には、貯めた水を流して川の正常な水の流れを維持します。

しかし、1週間前、この役割を果たすために使う水の貯水率が0%に。このままではアユをはじめとする生物環境に影響が出るとして、11月1日から14年ぶりにダムの底に蓄えている‟緊急用の水”「堆砂容量内貯留水」を放流し、対応しています。

しかし、大洲河川国道事務所によると、この‟緊急用の水”も、このまま雨が降らない状況が続くと、あと10日ほどで底を尽きる見込みです。

四国地方の今後1か月の予想降水量は平年並みで、このまま少雨傾向が続く場合、産卵したアユの卵が干上がったり長浜地域の生活用水となっている地下の水源に海水が混ざり、家庭用水の取水に影響が出たりする恐れがあるということです。

このほか、県内では、新居浜市が生活用水の水源となっている地下水の水位が低下しているとして、7日から節水の呼びかけを始めました。

また、松山市でも先月26日から水道から出る水の量を少なくする、減圧給水を実施して、1人1日バケツ1杯分の節水を呼び掛けています。

今後の雨の見込みですが、20日金曜日は、前線を伴う低気圧が近付いて雨となりそうです。低気圧周辺の雨雲がかかって県内は久々の雨となりますが、まとまった雨は太平洋側が中心となりそうです。

この先12月にかけての降水量は平年並みと予想されていますが、冬場は一年でも雨が少ない時期で、平年並みに降ったとしても水不足を一気に解消するほどにはならない見込みです。

引き続き、節水を心がけていきましょう。

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