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国内唯一の工場…それは“カップアイスの木のヘラ” 全焼から復活!新たな挑戦へ 北海道津別町

2025年1月5日 8:06
国内唯一の工場…それは“カップアイスの木のヘラ” 全焼から復活!新たな挑戦へ 北海道津別町

キツネの顔が描かれたアイスクリーム用のスプーンやシマエナガのコーヒーマドラー。

いずれも北海道産のシラカバで作られています。

火災に遭いながらも復活した、国内唯一の工場にカメラが密着しました。

今日の主役…お菓子の”付属品”は「自然の味」

昔懐かしいお菓子がところ狭しと並ぶ駄菓子屋。

子どもたちが手に取ったのは、ヨーグルト風味の駄菓子です。

(子ども)「ちょっと酸っぱい」

(子ども)「めっちゃおいしい」

(記者)「木のヘラはどうですか?」

(子ども)「使いやすい、自然の味がする」

きょうの主役は駄菓子、ではなく小さな木のヘラです。

カップアイスの「木のヘラ」やキャンデーの「棒」国内唯一の工場がオホーツクに

木と水に恵まれたオホーツクの津別町。

シラカバの木が広がります。

森の中にある「相富木材加工」。

木のヘラはここで作られています。

従業員はわずか5人。

年間4000本を超えるシラカバを加工しています。

経営するのは5代目の土田京一さんです。

(相富木材加工 土田京一さん)「(製品は)口に入れるものが多いので、(シラカバは)色が白いのと無味・無臭なので食材をすくうときとかも嫌なにおいとかもしない。加工しやすいと思います。ちょうどいい硬さ。硬すぎると剥きづらい。柔すぎても、もさついて剥きづらいので、硬さとしてもちょうどいいです」

アイスクリームやキャンデー。

木のヘラを製造する国内唯一の工場です。

“国内唯一”を作るすごい技術!工場の一日は午前4時から…

まだ暗い冬の朝、工場の1日が始まります。

(相富木材加工 土田豊さん)「1番は火事を起こさないこと。そのあとは順調に時間通りに温度を上げていくこと。柔らかくしないと加工できない。やわらかくするために茹でている」

釜に薪をくべるのは弟の豊さん。

中に入っているのは、シラカバの木、

100℃近い熱湯で茹でます。

煮込んで柔らかくなったシラカバ。

冷めないうちに加工を始めます。

まずは皮を荒削り、さらにかんなで滑らかにします。

工場の中は外と同じ氷点下の寒さ。

わずか2ミリほどの薄い板に加工してプレス機へ。

金型で抜き取るとようやくヘラの形になります。

品質を左右するのは表面の滑らかさ。

絶えず刃を研ぎながら作業を続けます。

(相富木材加工 土田京一さん)「安心安全が担保されないとだめなので、結構気を使いますよね」

”木のヘラ”用途は食品以外にも 安全性が求められるワケとは?

高い安全性が求められるのには理由があります。

札幌市内の診療所です。

口や喉をみる器具に木のヘラが使われています。

(わたなべ小児科・アレルギー科クリニック 渡辺徹院長)「外で診察をしたり隔離室で診察するときに使わせてもらっている。使い捨てで後始末が要らない。感染防止という意味合いを考えるとかなりメリットがある。非常に表面が滑らかじゃないと、傷をつけたりしたら大変なことになる。だから製造する側も神経を使って作っていると思う」

林業のマチ津別町 創業1944年「相富木材加工」の歴史 火事で工場存続の危機も…

周囲を山に囲まれ、木のマチとして知られる津別町。

古くから林業が盛んなマチです。

相富木材加工は1944年に創業。

アイス用のヘラを看板商品に売り上げを伸ばしてきました。

しかし、やがて低価格の中国製品に押され、事業の縮小を余儀なくされました。

さらに7年前、木を煮る釜から火が出て火災が発生。

風が強かったことも災いし、工場は全焼しました。

(相富木材加工 土田京一さん)「みんな火事のときの爪あとなんですよね。本当に全部燃えたので、日本で唯一の会社なので、日本でここにしかない機械ばかりなので、これは直らないだろうと」

それでも6000万円の借金をして再建を決意。

国産にこだわる得意先の後押しもあり、8か月かけて建物や機械を修理しました。

(相富木材加工 土田京一さん)「海外のものはうちは無理だと言ってくれる会社もあったので、そう簡単に『はい、やめます』とはならないぞと」

火災を乗り越え、新商品の開発!魅力はやっぱり木のぬくもり

生き残りをかけて新たな製品も開発中です。

(相富木材加工 土田京一さん)「どうだい、印字不良とかないかい。曲がって印字されたり。大丈夫そうだね」

レーザーを使ってアザラシやシマエナガを描いたコーヒーマドラーです。

(相富木材加工 土田京一さん)「使い捨てだから、処理に衛生面でいいのと、やっぱりぬくもりですかね。冷たさがないから、やわらかさ、あったかさ、そこじゃないですかね。これが相富木材の製品だって手にもって知ってもらいたい」

火災を乗り越え再出発した小さな工場。

安心安全な木のぬくもりを届けます。

最終更新日:2025年1月6日 11:14
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