なぜ…「プール熱」警報級の流行 インフルと同時感染も 幼稚園でも収まらず 手洗いが有効
子どもに多く、夏に流行のピークを迎える咽頭結膜熱、いわゆる「プール熱」が、この時期になって急速に猛威をふるっています。
全国で警報基準を超えていますが、どんな感染症なのでしょうか?
娘が「熱を出した」と札幌市内の小児科クリニックを訪れていた親子です。
(円山ため小児科 多米淳院長)「プール熱の検査がんばるぞ」
(母親)「インフルエンザとアデノウイルスが流行っていて、それで発熱したので受診しに来ました」
母親が懸念していたのは、感染が広がっているインフルエンザと「アデノウイルス」が原因となる「咽頭結膜熱」いわゆる「プール熱」です。
「プール熱」は主に子どもが発症し、発熱やのどの痛み、結膜炎などの症状を引き起こします。
例年は夏にピークを迎える感染症ですが、今インフルエンザと同時に流行しているといいます。
診察を受けた親子は…
(円山ため小児科 多米淳院長)「2つかかってるわ。インフルエンザのA型とプール熱、アデノウイルスの感染症にかかってる」
こちらの病院ではこの日、13人がインフルエンザ、10人がプール熱と診断されました。
医師は、新型コロナが5類相当となってから人々の交流が多くなったことが原因のひとつと推測しています。
(円山ため小児科 多米淳院長)「もう一つは、コロナ対策で感染対策を非常にしっかりやりましたよね。この3年間まるっきり大きな感染症が流行らなかったので、免疫を持たない人が増えているということも流行の原因かと思っています」
直近の1週間で報告されたプール熱の患者数は、全国で1医療機関あたり3.23人と、統計開始以来過去10年で最も多く、自治体ごとの警報の目安となる「3.0人」を初めて超える警報級の流行となっています。
札幌市内にある幼稚園では、およそ270人の子どものうち20人が、この日プール熱での欠席となっていました。
園児たちに手洗いを徹底させたり、園内をこまめに消毒したり拭き掃除するなど警戒を強めていますが、感染は収まらないといいます。
(北野しらかば幼稚園 西岡那奈香保育教諭)「今週休み明けからすごく増えてきているような感じではあります。去年はそこまでなかったんですけど、ことしやっぱりインフルエンザとアデノウイルスの報告例がすごく増えています」
札幌市保健所によりますと、「プール熱」はアルコールが効きにくいため、手洗いが有効な感染対策だといいます。
(札幌市保健所 医師 寺田健作さん)「基本的には自然によくなる感染症ですので慌てないことと、しっかりと症状があるときは休む。そして外から帰ってきたり家を出たときには手洗いをするというところを心がけていただければいいかなと思います」
インフルエンザと同時に感染が急増しているプール熱ですが、基本的な感染症対策を行うことが、どちらの感染症も防ぐ手立てとなります。