加工場のゴミあさる、ブリーダーのイヌ舎襲う…相次ぐクマ被害に妙手は?共生は?悩ましい北海道
北海道・オホーツクの枝幸町の市街地で、連日クマの目撃が相次いでいます。
空知の奈井江町でも、イヌがクマに襲撃されたとみられる事故も起きていて、道内で続発するクマの出没に、共生のあり方が改めて問われています。
枝幸町岬町で2024年8月3日に撮影された映像です。
駐車中のトラックを横切るのは1頭のクマ。
その後、住宅のすぐ近くでうろつく姿も見られました。
付近では7月29日にもクマの目撃がありましたが、人を恐れる様子はまったくありません。
(付近に住む人)「怖いですよね。近くに加工場も多いので、エサがいっぱいあるのも分かっているんじゃないかな」
近くの水産加工場では、ゴミ箱の中に入れていた魚の残骸が荒らされる被害もー
(加工場の人)「会社の裏に置いてあるゴミを入れている缶があるんですけど、フタが外れてしまっていたんですよね。あさって落としたのかなって」
住宅地へ踏み入るクマ。
空知の奈井江町にあるイヌのブリーダー施設では痛ましい事故も起きました。
(所有者)「被害は初めてです。かなり大きいクマだねという話を(ハンターの方と)した」
8月2日夜から3日朝にかけ、施設内にいたイヌ3頭がクマに襲われ、3頭とも死にました。
その後、奈井江町では1.2メートルほどのオスのクマ1頭が駆除されました。
町によると、イヌを襲った可能性があるということです。
現場に立ち会った鳥獣被害対策実施隊のハンターはー
(鳥獣被害対策実施隊 北村義行さん)「(クマの)食べ物がないということ、山奥には。だから(マチに)下がってくるんだよ」
ヒトの生活圏にやすやすと踏む超えてくるクマ。
道東の標茶町ではクマとの向き合い方を考える展示会が始まりました。
(金澤記者)「OSO18の等身大パネルが展示されています。身長170センチの私と比べるとその大きさが分かります」
標茶町などで少なくとも66頭の牛を襲い、地元を恐怖に陥れた「OSO18」。
警戒心が強く、捕獲は困難を極めましたが、2023年7月30日に駆除されました。
会場ではOSO18の牙や致命傷を与えた弾丸を見ることができるほか、クマと住み分けることの大切さを伝えるパネルなどが展示されています。
見学客の中にはこんな人がー
(旭川からの見学客)「きょうです。来るときたまたまクマに遭遇して。山というよりも坂を上ったコンクリートを打っているところだったので、工事の人が危険だなと思いましたね。お互いにいい状態の共存ができればと思います」
(標茶町博物館ニタイ・ト 坪岡始学芸員)「変化してしまった北海道の生態系が、こういうOSO18の事件みたいな形につながっていくのだと思う。身近な問題としてクマ問題を多くの人に知ってほしい」
クマとヒトの距離が近づき、被害が相次ぐ道内。
どう共存していくのか、その課題はまだ山積みです。