拡大メンズメーク市場!背景に“映える”売り場3倍デパートも…商戦最前線を阿部記者が追う!
「メンズメーク」という言葉をご存じですか?文字通り男性の化粧です。
男性用の化粧品市場が急速に拡大していて、札幌市内には売り場を3倍にしたデパートもあります。
流行の背景を探ると、令和の時代らしい理由が見えてきました。キーワードは、やはり…“映える”です。
(守屋俊甫さん)「チークで少し、ほう骨辺りを明るくしている感じで。どうしてもファンデーションだけだと、のっぺりと白い顔になっちゃうので」
38歳の守屋さんの仕事前の5分間の習慣…それはメークです。
フィットネストレーナーの守屋さんが、メークを始めたのは2か月前。
(守屋俊甫さん)「ソーラン節は北海道の繁栄に大きく貢献した 一大産業です」
この日は、ソーラン節の動画配信の撮影。
仕事柄人前に立つことも多く自身の“見栄え”はかなり気になるところです。
(守屋俊甫さん)「人にどう見せるかって絵で見せることが大事だと言われて。トータルの清潔感を出す時に、ちょこちょこはやっていたけど、なんだかんだメークというのはチャレンジすることがなくて。じゃあもう重い腰を上げようと、しっかり人に伝えられるようにということでメンズメークを始めました」
これには、守屋さんの家族もー
(妻・かづなさん)「30歳を超えた主人がメンズメーク!?っていうふうにはびっくりしましたけど、家族とコミュニケーションとか知識の共有というのも、1つの家族の話題になっているのも新鮮でなんか嬉しいです」
令和のいま、男性の化粧・メンズメークは、守屋さんのように、人前に出る仕事の人だけ…というわけではありません。
(20代男性)「お風呂上りに化粧水と乳液は必ず塗るようにしています。友達に少し目元とかメークしたりする人もいますね」
( 20代カップル)「彼女が出来てからパックとか化粧水とか乳液とかも使ってやっています」
(彼氏がメークを始めたら?)
「一緒にメーク時間も楽しめるんじゃないかな」
(40代男性)「コンシーラーって言うんですかね、あとファンデーションですね。仕事で人前に立つときにちょっとだけ塗ったりすることもありますので(メンズメークは)ありだと思います」
(50代女性)「(スキンケアなどを)息子も主人もやってます。主人、60代」
(50代女性)「脱毛とかもやられたり、私たちの世代の男の子とはちょっと違う美容に気をつけている子が多いと思います」
札幌市内のデパートをのぞいてみると、様変わりしていました。
(阿部記者)「こちらの店は男性の美容用品を取り扱っていて、スキンケアやリップなどの男性のメーク用品など1000点以上の商品を取り扱っています」
このデパートでは2年前に大幅リニューアルし、売り場の面積を思い切って3倍に!
道内最大級の売り場を誇ります。
まつ毛にボリュームを加えるマスカラや、唇をケアしつつ色鮮やかに見せるリップ。
なかでも売れ筋が…
(札幌丸井三越メンズドメスティック・紳士雑貨亀井聡マーチャンダイザー)「初心者の方にも取り入れやすいのが、こういう眉毛を整えるパウダーです。このように自分の眉毛を整えるだけで大分印象が変わってきます」
顔の印象が大きく変わると言われる眉毛を簡単に整えられるものや、1本で美容液や下地の役割を果たすクリームなど、いわゆる“基礎化粧品”と呼ばれる手軽な商品が売上をけん引しています。
(札幌丸井三越メンズドメスティック・紳士雑貨亀井聡マーチャンダイザー)「例えば夏の日焼けケアですとか 毛穴ですとか、身だしなみの一環としてさらに広がりを見せていくのかなっていうふうに感じております」
メンズメークの勢いは公共施設にも広がっていて、とどまるところを知りません。
(JR北海道・綿貫泰之社長)「男性トイレにパウダーコーナー新設する」
JR札幌駅では今2024年度中に初めて、駅構内の男性トイレに、パウダールーム・化粧室を作る計画を立てています。
メンズメーク急伸の背景には何があるのか。興味深いデータがあります。
化粧品全体の売り上げは、新型コロナが大流行した2020年に急落しました。
ところがメンズメークの市場は売り上げを落とすどころか、伸ばしていたのです。
大手化粧品会社はその背景に、リモートワークがあったのでは、と分析しています。
(コーセープロビジョンダイレクトビジネス室・大野祐暉さん)「コロナ禍でオンライン会議が普及したことで、自分の顔を見る機会が増えた。そういったところで自分の顔が疲れているな、とかニキビがあるな、とかそういった肌の悩みとか印象を変えるために身だしなみとしてメイクを取り入れる人が増えた印象です」
SNSの普及で、特に重要視される「映える」。若い世代を中心に、画面映りを気にする令和の世相を、メンズメークブームは色濃く反映している、と言えそうです。
(コーセープロビジョンダイレクトビジネス室・大野祐暉さん)「今までとは違う成功体験といいますか、綺麗になった自分に自信を持てたり、中身として気持ちもポジティブになるというところが1つメリットに なると感じています」
(竹山友紀さん)「こんにちは」
この動きに目を付けた竹山友紀さんです。経営する美容サロンで、1年前からメンズメークの個人レッスンを始めました。
すると想定以上の、月に10人ほどの男性客が来店。反響に驚いています。
(竹山友紀さん)「買ってみたけど塗り方が分からないとか、塗ってみたけどなんか変なんじゃないかとかそういう方が多いです」
プロが教えるメンズメークのポイント。それは「脂」。
男性は女性よりも肌の脂が出やすいといいます。
(竹山友紀さん)「お肌の状態をできるだけメーク前の段階で綺麗にしておくということが大事ポイントになりますので、しっかりと化粧水・美容液など で保湿していただく」
(阿部記者)「化粧をする前に日焼け止めとかを塗るんですね 」
(竹山友紀さん)「そうですね、これは男性の方でも手軽に使っていただける日焼け止め兼下地になるものなので、その時と場合、シーンによってこれだけでもOKの日も あると思います。次にファンデーションですね、お顔の陰影を残しておくのがポイントですので全体には塗らないで影を残しておきます」
他の客などの人目を気にせずメークのレッスンを受けられることも、竹山さんのサロンが男性に人気の理由です。
(竹山友紀さん)「はい、完成です」
(阿部記者)「メークをすることによって肌がきれいになったり整ったような感じがしますね。気分も明るくなった印象があります」
26歳・阿部記者のメークの前と後、です。
顔はもちろんですが、気持ちも前向きに“メーク”されることも、ブームを後押ししているようです。
(竹山友紀さん)「毎日が楽しくなったりとか自信につながったりとか、コンプレックスを隠せたりとかメリットばかりだと思います。特別なこととして見られないようになればいいなと思います。」
自撮りや加工アプリ、そしてリモートワーク。
メンズメークの流行は、「映える」を意識した、自分の顔への関心の高まり…といえそうです。