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9月は「がん征圧月間」がんの第4の治療「緩和ケア」生活の質を上げる医療「悔いのない生き方につなげて…」

2024年9月13日 22:41
9月は「がん征圧月間」がんの第4の治療「緩和ケア」生活の質を上げる医療「悔いのない生き方につなげて…」

9月はがんに対する正しい知識や早期発見の大切さなどを広める「がん征圧月間」です。特集では、がんの第4の治療と言われる「緩和ケア」について考えます。

ここは松本市の丸の内病院、緩和ケア病棟「やまなみ」。ピアノの演奏に耳を傾けていたのは入院中の女性です。

40代女性
「元気出ました。生演奏凄く素敵で」

40代。肺がんと向き合いながら20日ほど前に緩和ケア病棟への入院を決めました。

40代女性
「緩和ケア(病棟)ってどういうものなのかちょっと入院してみないと分からない部分があったんですけど私にとっては本当にプラスで今、本当に感謝しかない」

がんの治療は「手術」、抗がん剤を使う「薬物治療」、そして「放射線治療」が3大治療と言われています。そして、第4の治療と言われるのが「緩和ケア」です。

信州がんセンター 緩和部門間宮敬子教授
「緩和ケアは WHO(世界保健機関)が定義しているの 生命を脅かす病に関連する患者さんとその家族のクオリティオブライフですね。生活の質を上げると言う意味の医療であり取り組みです」

【緩和ケアのイメージは?】
70代 男性「最期のというような感じになるかな、 寂しいね」

40代 男性「(家族が)選択ひとつひとつ苦痛なくしてもらうためにっていうのを経験して結構つらかった覚えがあります。」

内閣府の調査で、「緩和ケアを開始すべき時期」を尋ねたところ、22パーセントの人が「がんが治る見込みがなくなったときから」と答えました。

信州がんセンター 緩和部門間宮敬子教授
「早期からの緩和ケアってことで診断されたときから緩和ケアがはいっていくということを小学生とか中学生とか若い世代の人たちに緩和ケアってもっと身近にあるんだよ 亡くなる前に動かなきゃいけない行かなきゃいけないところではないんですよって言うのは知っていただきたいと切に思っています。」

緩和ケアは、大きく分けて「外来」と「入院」によって受けることができます。

緩和ケア「外来」は、医師や看護師、薬剤師などが通院中や在宅療養中の患者と家族を支援。辛い症状の相談のほか、日常生活の困りごとについてもサポ―トします。

一方、緩和ケア病棟は、「入院」による緩和ケアの場です。がんを治すことを目的とした治療ではなく、その人らしい生き方に寄り添います。

県内で緩和ケア外来を持つ病院は18病院。一方、緩和ケア病棟は6病院、120床。中信地域には松本市の丸の内病院ただ1つ、11床です。

(丸の内病院 緩和ケア病棟)

常念、槍ヶ岳…、丸の内病院の病室には山の名前が付けられています。部屋は個室、酸素ボンベなどは収納できます。入院中の自分の顔を見たくない、そんな気持ちのときにも寄り添えるように鏡は隠すことができます。

丸の内病院緩和ケアセンター栗崎功己センター長
「スタッフがみんな患者さん個人の思い ご家族の思いを大事にしているので これからどんな風に生きていこうかなというところを大事にしてみんな頑張っています」

7月。七夕をイメージしたデザートが病棟に届きました。パティシエが院内で調理しています。

管理栄養士 保科恵理さん
「天の川羊羹(ようかん)になってる」

病棟での時間をできるだけ寛いでもらえるように。季節を楽しんでもらえるように…。

管理栄養士 保科恵理さん
「そのときに楽しめるもの食べたいものが何かとか何が口に合うかとかそういうこ とを主に考えています」

(8月多職種カンファレンス)
医師や看護師、リハビリスタッフソーシャルワーカーなどが患者ひとりひとりの状態や今後について話し合います。

丸の内病院緩和ケアセンター栗崎功己センター長
「ご主人ができれば 短時間でもいいので1回家にちょっと連れていってあげたい それが数時間でもいいのでとおっしゃっていて」

丸の内病院緩和ケア病棟 有賀看護師長
「ちょっとその痛みの方だとか呼吸にも不安があるということでお返事をせかさずに待ってるところなので・・・」

この日は、自宅への帰宅支援についてチームみんなで考えていました。話の中心にいるのは、いつでも患者とその家族です。

緩和ケア病棟のラウンジ。ピアノを弾いていたのは入院中の母親の顔を見に来ていた小林美穂さんです。ピアノの横に飾られた水墨画は、病室にいる母の作品。妹の田中若那さんが刺繍をほどこしました。

患者家族 田中若那さん
「こちら(緩和ケア病棟)に来て安心している母を見てできること 私たちができることにちゃんとフォーカスできるようになったのでよかったと思います」

母の紀美子さんは数年前から、がんの治療を受けていました。2週間ほど前に入院、この日、娘の演奏を病室で聞いていました。

患者家族 小林美穂さん
「実際ここの病院に入ってみたら想像していた病院とぜんぜん違ってすごく自由で温かくて居心地が良くて最善だと思います」

ピアノの演奏に聞き入っていたもう一人の女性。ご主人と愛犬が毎日会いにきてくれることがうれしいと話します。外泊をして家で過ごす時間も持てました。

40代女性
「時間は限られていたとしてもすごく私の中で入院生活のなかでは力になっているので病気を治すその治療もすごく大事だけど最後は気持ち」

緩和ケア病棟での時間を悔いのない生き方につなげてほしい。医療スタッフたちの思いが寄り添っています。

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