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東京の大学生が休学し山形県西川町に移住へ 決断したわけは? 「積雪発電」の研究も

2024年4月5日 18:21
東京の大学生が休学し山形県西川町に移住へ 決断したわけは? 「積雪発電」の研究も

東京の大学に通う男子学生がこの春、山形県西川町に移り住むことを決めました。都会の若者がなぜ、休学してまで地方への移住を決断したのでしょうかー。町を訪れた2日間に、カメラが同行しました。

雪深い山々に囲まれた西川町大井沢地区です。78世帯、177人が暮らしています。
3月下旬、電気通信大学2年の橋本昂将さん(23)が地区の資料館を訪れました。橋本さんは熊本県出身、進学をきっかけに上京しました。そしていま、休学して西川町への移住を検討しています。

橋本昂将さん「山形に来たのは初めて。東北地方に足を踏み入れたのも初めて。榎木先生の紹介で、せっかくのご縁なので、ぜひ見学に行きたいと思って来た」

橋本さんを引率した電気通信大学の榎木光治准教授は雪の温度差を利用した「積雪発電」と呼ばれる、エネルギー研究の第一人者で、1年ほど前から西川町を訪れていました。そんな中、担任する橋本さんから大学を休学したいという相談を受けます。休学中の過ごし方を話し合う中で、橋本さんが関心を寄せたのが地域の活性化に関わることでした。

橋本昂将さん「実際に行ってみないと何も分からないこともあり、不安としては大きかったが、それと同じぐらいにワクワクや好奇心があった」

電気通信大学・榎木光治准教授「1年前に山形に来て、雪の歴史を知ると、生き物が違うし、人の生活するスタイルも違う。そういう文化を見る機会はなかなかないので、一旦きっかけとして知る機会にしてほしいと思った」

初めて見るクマの毛皮ー。

クマの毛皮見学「爪はあまり尖ってなくて力で引き裂く感じ」

町に伝わる月山和紙の製造工程も見学しました。

月山和紙見学「さらに分厚くしてるんですか?」「これ吊り紐なしだと相当重いですか?」「たぶん揺れない。3回ぐらいでしんどい」

榎木准教授はいま、2007年に廃校となった校舎に、積雪発電の研究施設を設置できないか町と検討を進めています。

電気通信大学・榎木光治准教授「ここを研究室として借りるとすれば、立ち上げメンバーの君が主役になる」

この校舎を活用することで、積雪発電の継続的な実証実験ができます。さらにその技術が町に普及すれば、住民が雪下ろしの苦労から解放されると言います。

「このきれいさ!」「なかなかこの景色はない」
「研究施設の規模のイメージはあるんですか?」「どうするかな…」
「きれい好きでしょ?」「自分の家はきれいにしてます」「適任者!」

周囲の期待もおのずと高まります。
翌日ー。東京に戻る2時間ほど前に町民との交流会に参加した橋本さん。

町職員の担当者「住所を移すかどうかを今回検討していただくということで、西川町に来て大井沢などを見て回りました」

昼食を取りながら先輩移住者たちの話に耳を傾けます。

橋本昂将さん「人が温かいというのは一番に感じる。皆さん急きょ来た僕のためにいろいろしてくれて。やってあげてるという感じもなく本当にありがたい」

移住するかどうかー。決断の時は突然訪れました。

橋本昂将さん「橋本昂将23歳です。西川町に…移住します!」「人の温かさをすごく感じたことが大きい。西川町の景色もきれいで、温泉が充実していて住むのに魅力的ですごい美しいなと思ったので移住することに決めました」

橋本さんは4月下旬に西川町に移住、地域おこし協力隊員として活動する予定です。

橋本昂将さん「地域の方々と密に、仲良くなれるようにイベントに参加するなどし徐々に慣れてくるタイミングで榎木研究室の研究も始まると思うのでしっかり頑張りたい」

人口減少が進む県内。地道な一歩が地域の発展につながると期待されます。

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