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【大モメ】万博まで7か月も課題山積…3つの懸案「紙の入場券」「ペットの入場」「建設費の追加負担」

2024年9月13日 19:47
【大モメ】万博まで7か月も課題山積…3つの懸案「紙の入場券」「ペットの入場」「建設費の追加負担」

(中谷しのぶキャスター)
 2025年4月に開幕する大阪関西万博まで7か月ほどになりましたが、課題はいまだ山積しています。
 主に3つのポイント、「紙の入場券」「ペットの入場」「建設費の追加負担90億円」という点が、13日万博協会の理事会が行われていて、話し合われています。

 まず「紙の入場券」についてです。
 紙の入場券は、そもそも発売予定はなかったんですが、10月13日から発売されることになりました。来場予約が不要で、コンビニなどで買うことができるわけなんですが、万博協会側と大阪府市とで意見が対立しているんです。

 紙の入場券は、7月時点では「除外日ありにした方がいい」というのが万博協会側の主張です。なぜなら来場予約が不要なので、混雑する時期に人がかたまってしまうので、「交通の混乱を避けたい」という理由から、除外日ありがいいという主張なんですね。

  一方で、大阪府市は予約状況で利用不可の日は設けるとしながらも、除外日なしがいいと。
なぜなら、この買いやすい入場券を追求して売り上げを伸ばしたいからということなんです。
 
 背景にはもう前売り券の発売が開始されている電子チケットですが、まだ目標の4割程度にとどまっているんです。
 これもネットで日時の予約が必要なものになるんですけれども、この目標がまだ全然達していないので、紙のチケットをどうするのかという議論がなされています。

 では、13日の理事会でどう決まったのか、中継で伝えてもらいたいと思います。

(古瀬朱理 記者)
 万博協会の理事会は午後2時から約2時間にわたって行われ、先ほど終了しました。
 現在私の後ろの会場では、万博協会の会見が行われていて、理事会での協議内容について説明がなされています。

 今回のポイントの一つは来場日時を予約せずに入れる紙チケットです。入場できない日を設定するかどうかということがポイントでした。
 今まで万博協会と大阪府市の間で意見が食い違う状況が続いていましたが、今日の理事会では万博協会が示していたように、入場できない日が設定されることになりました。
 
 この理由について、万博協会は、来場者が多く見込まれる日は入場の際に大きな混乱が生じる可能性があるとしています。

 また入場できない日の詳細は今日は示されず、万博協会の十倉会長に一任するということです。万博協会の十倉会長は、「多くの人に来てもらいたいというのと安心安全を確保することのバランスを調整しているところ、近いうちに入場できない日を公表したい」とコメントしています。

(中谷しのぶキャスター)
 13日の会議では、万博協会側の除外日ありというのが決定されて、詳細は後日ということになりました。

 もう一つの点がこちらです。
 「ペットの入場」をどうするかという点です。万博協会はペットの同伴を認めたいとしていたんですけれども、断念することにしました。なぜならば期間そして対象が限定的でコストがかかるということです。

 一方で、大阪府市は認めるべきと主張していまして、なぜならペットとの共生も万博の理念に合致しているからということなんですが、この背景にあるのは前回の理事会の案で、このペットの同伴については、来場可能期間が10日間限定で同伴可能条件は、小型犬で1日100匹限定で事前予約が必要だということです。

 獣医師の確保や設備などに約8300万円かかるということで、いろんな反論が噴出したわけなんですけれど、こちらはどうなったのでしょうか。

(古瀬朱理 記者)
 今回のポイントの2つ目は、万博会場へのペットの入場を認めるかどうかということでした。
 ペットの同伴は断念するという万博協会と条件に制限があっても認めるべきだという大阪府・市との間に溝がある状況が続いていましたが、今日の理事会では入場を認めないことが決定しました。

 理由について万博協会は、これまで約1年半ほどをかけてペットと同伴できる初めての万博を目指して調整を進めてきましたが、獣医師の確保などに8300万円ほどの高額の費用がかかるほか、受け入れることができるペットの数に制限が大きく、ペットとの共生という理念を達成できないことなどを挙げました。

 また、関係者によりますと、ペットをケージに入れて移動するだけでも虐待だと捉えられる場合もあるそうで、国によりペットの文化が大きく異なることも断念する大きな要因になったとみられます。
 
 こちらも大阪府市にとっては万博協会の案に押し切られることになりましたが、理事会の終了後大阪府の吉村知事は次のように話しました。

 大阪府 吉村知事
「これは実現したかったですけど、これが否決になったのは残念に思います。これを楽しみにしていた方もいらっしゃると思うし、『命輝く未来社会のデザイン』ということであれば、ペットの同伴を認める万博をまずここでやって、限定的であっても次につながっていけばいいと思って、この間やってきました。ただ結論ですから、その結果には従います」

(古瀬朱理 記者)
 また、吉村知事は、ペットの同伴が認められなくなったことを受けて、大阪府・市が出展する「大阪ヘルスケアパビリオン」で、ペットとの共生を考えるイベントを行うことを明らかにしました。

(中谷しのぶキャスター)
 3つ目のポイント「建設費の追加負担」という話です。
 前回は海外パビリオンの建設遅れの対応に最大約76億円追加費用がかかるとしていたんですが、そこからメタンガスの問題が出てきて、その対応も追加すると最大約90億円追加費用がかかるのではないかと言われています。会場建設費をめぐってはこれまで2度にわたって上げています。

 万が一の予備費として、この2350億円のうち130億円を予備費として計上しているんですが、そのうちの90億円の一部がここから出されるということで、ますます残りが少なくなってくるということは、会場の建設遅れもまだありますし、今後どういうふうにこの予算の建設費の追加負担を抑えられるかというところがポイントになってきますよね。

(横須賀ゆきの解説委員)
 不測の事態というのはどうしても存在してしまうものなので、そのリスクを含めながら計画立てていくんですけど、取材を続けている記者に聞いてもやはり工事がそもそも遅れているので、開幕に向けてたくさんの人を確保しなきゃいけない可能性がある。当然そうすると建設費が膨らんでいく懸念をやはり経済界などは持っています。これ以上建設費が増えませんとは、到底否定できる状況にないということなんです。

 ただここでやっぱり重要なことは、それはそれでいたしかたない部分もあるので、ちゃんと丁寧な説明をするというところが大事ですよね。

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