「悲しみや後悔の思いは時間が過ぎようとも変わることはありません」奈良・女児誘拐殺人事件から20年 有山楓さんの父親が手記を公表
2004年、奈良市で当時小学1年生の有山楓さん(7)が下校途中に誘拐され殺害された事件から20年が経ちます。楓さんの父親が手記を公表しました。
この事件は、2004年11月17日、当時小学1年生だった有山楓さん(7)が下校途中に奈良市内で誘拐され、翌日遺体で見つかったものです。楓さんを殺害した小林薫・元死刑囚は、2013年に死刑が執行されています。
この事件から20年となる17日、楓さんの父親の茂樹さんが手記を公表し、胸の内を明かしました。
■有山楓さんの父親・茂樹さんの手記全文
ことしで楓が被害に遭って20年がたちます。よく節目と言われますが、悲しみや後悔の思いは時間が過ぎようとも変わることはありません。警察署で再会した楓の表情、家の中の私たち家族へ向けられたフラッシュの嵐は今でも鮮明に記憶しているのに笑顔いっぱいの楓の写真を見て楓の言葉は思い出せても、元気な声が時間とともに頭の中に響かなくなってきました。当時の悲しみとは違い時間の経過が新たな悲しみや苦しみを生み出してきます。
楓がいない20年間、私は前に進まなければならないと必死にもがいてきましたが、一歩が本当に重く感じる毎日でした。それでも楓の生きた7年間だけでなく、今も楓への思いを忘れず、二度と悲しい事件を起こさない取り組みを継続してくれている多くの方に支えてもらい、気持ちだけは前を向いて進んでこられました。この20年が大切な時間であったと思えるのも、きっと楓が今も私のそばにいて、思いや縁をつないでくれたからだと思っています。
残された者の苦しみは言い表せません。思いを出すことも出さないことも本当に辛いものです。このような思いを誰にもしてほしくありません。行政、地域、学校による安全への取り組みが続くことを心より願います。
有山 茂樹