【速報】大阪大学など新発見 大腸は右と左で異なる役割 小腸は免疫の中枢担う 大腸がん新治療に期待
大阪大学と国立がん研究センターの研究グループは、大腸カメラを使って小腸と大腸の一部を採取し遺伝子解析を行う「ステップ生検」によって、大腸が右側と左側で異なる役割があることを世界で初めて明らかにしました。研究成果は8日の午後6時にアメリカの科学誌で公開されます。
研究グループによりますと、大腸がんが左側に起こりやすいことなどから、大腸カメラを使って小腸と大腸のステップ生検を行ったところ、大腸は小腸に近い右側と遠い左側で異なる働きをしていることがわかりました。これまで大腸の役割は一括りにされ、水分吸収を担うと考えられていましたが、今回の研究で、水分吸収を担う働きは主に大腸の左側が行い、右側は小腸と同様に、身体に有害な異物を排除する働きをしていることがわかりました。
また、大腸がん患者の大腸のうち、がんと離れた正常組織の部分を、健康な人の正常組織と比べたところ、大腸がん患者は正常組織にも既に遺伝子変動が起きていて、がんになる可能性がある「未病状態」となっていることが明らかになりました。また、小腸は白血球の発現が多く全身の免疫の中枢を担っていて、小腸の免疫が大腸がん進展の制御に関連していることもわかりました。
今回の研究から、一度がんを患った人は大腸カメラの検査など定期的なフォローアップが必要であることがわかりました。また今後は、全身の免疫の中枢を担う小腸の免疫力を復活させることで、大腸がんなどの治療に役立つ、新たな免疫療法の開発が期待されます
大阪大学大学院医学系研究科の谷内田真一教授は「今後は大腸がんがなぜ左側に多いといった疑問に答える研究につなげたい」としています。大腸がんは、この40年間で7倍以上増加し、日本で一番多いがんです。