天然の冷蔵庫で…雪中貯蔵の日本酒の蔵出し フレッシュな味わいに
雪室で寝かせた日本酒の蔵出し作業が羽後町で行われました。
今年は暖冬で雪の確保に気を揉みましたが、例年通りフレッシュな味わいに仕上がったということです。
山あいの集落の一角に、シートで覆われた高さ4メートルを超える大きな塊。
冬の間に雪を積み上げて作った天然の冷蔵庫、雪室です。
この時季に雫が落ちるひんやりとした雪室の中には、約1300本の日本酒が貯蔵されています。
羽後町の田代地区にある菅原酒店では、豪雪地帯ならではの酒をつくろうと、30年前から地元の酒造会社に製造を委託したオリジナルの日本酒の雪中貯蔵に取り組んでいます。
27日は、2月下旬から貯蔵を始めた日本酒の蔵出し作業を行いました。
雪室の中は湿度が高く、気温が0度ほどに保たれるため、貯蔵された日本酒は、気温が上がるこの時季でも搾りたてのようにフレッシュですっきりとした口当たりに仕上がるということです。
蔵出ししたばかりの冷えた日本酒をグラスに注ぎ早速、店主と地元の人たちが今年の出来映えを確かめました。
菅原酒店 店主 菅原弘助さん
「2月は本当に春みたいになったので困りましたけど、3月に雪が降ったのでそれで助かりました。自分の生まれたこの雪国をもっともっと誇りを持って愛し続けたいと思って取り組んだのが最初でしたので、30年目の味をかみしめた感じで雪をむしろ活かしていくのは、これからも長く続けていきたいと思ってます」
毎年、蔵出しを待ちわびている客も多いという雪国秋田の気候が育んだ雪中貯蔵の日本酒。
雪室での貯蔵は8月まで続けられ、日本酒は羽後町の菅原酒店で「七曲り峠」の名で販売されます。