大森山動物園子ども入園料有料化案 秋田市議会で否決
これまで無料だった、大森山動物園の子どもの入園料を有料化する秋田市の条例案が、市議会の本会議で否決されました。物価の高騰を受けて、市の一般財源から3億円以上を補填して運営している大森山動物園。穂積市長は「理解いただけず残念だ」と述べました。
秋田市によりますと大森山動物園は燃料費やエサ代の高騰で、かかる費用がこの10年で約4,300万円増えています。支出が収入を上回っていて、昨年度は市の一般財源から約3億6000万円を補てんしました。こうしたことから、市はこれまで無料だった高校生以下の入園料を有料化する方針を決め、市議会に条例案を提出していました。
21日の市議会本会議では賛成・反対双方の立場で議員が討論しました。
自民の小野寺誠議員は「赤字補てん額が膨らむ一方では将来、動物園を安定的に管理運営し、かつ飼育環境をも整え魅力ある動物園にしていくことは難しく、今後の本市の財政悪化が危惧される」と述べました。また、子どもの有料化に賛成の議員はあわせて秋田市の小中高校生に対する支援策を求めました。
一方、反対する議員、秋水会・小木田喜美雄議員は「大森山動物園は親と子の絆や命の大切さ、動物のふれあいなどを学ぶ教育の場であり、子どもへのサービス向上は必要である」と述べました。有料化に反対する議員からは、物価高騰や豪雨災害で市民生活も厳しさを増していると訴える声もあがりました。
採決の結果、子どもの有料化に賛成が13、反対が21で条例案は否決されました。市が提出した条例案が否決されるのは1990年以来です。
穂積市長は取材に対し「一般会計からみなさんの税金をつぎ込んでいるわけでありまして、なかなか人口も30万人を切って、様々な災害対応等々で一般会計も、収入も少なくなる、厳しくなる中での負担を求めたわけでありますけども、理解を頂けなかったということは残念だ」と述べました。
園内の施設整備も検討する中、燃料費やエサ代の高騰は続いています。秋田市は来年度、新たな条例案の提出が可能かどうかを含め大森山動物園のこれからについて検討を続けることにしています。
なお動物園以外の、太平山スキー場オーパスや秋田市中心部にあるにぎわい交流館AUなど、多くの公共施設の利用料金は来年4月から値上げすることが決まりました。