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愛知・江南市に広がる“無料学習塾”の輪!英語・数学・国語の連続受講も可能、お寺でパソコン・AI教室も開催「地域社会に根付いた支援を目指したい」

2025年1月29日 17:36
愛知・江南市に広がる“無料学習塾”の輪!英語・数学・国語の連続受講も可能、お寺でパソコン・AI教室も開催「地域社会に根付いた支援を目指したい」

“こども食堂”をはじめ、子どもたちを支援する取り組みが広がる昨今。愛知県江南市では、学びの機会を提供する「無料学習塾」の輪が広がっています。子どもたちは幅広い知識を学び、講師は“人のために行動すること”を通して、人の温かさと新たな知見を得ることができるというこの取り組み。
江南市内の無料学習塾、全4教室を統括する菊池知保さんに聞きました。

無料学習塾「東海つばめ学習会」とは?

2018年に設立された「東海つばめ学習会」。菊池さんによると、学びの機会に恵まれない子どもたちを支援することを目的に誕生した“無料学習塾”で、子どもたちが学ぶ喜びを感じ、望む未来を切り開く力を身につけることを目指しているといいます。

子どもたちが、無料で受講することができる学習塾。東海エリアでは15教室(2025年1月現在)が開講しており、支援を受けた子どもたちが将来的に支援する立場に成長していく「循環型の支援」を見据えています。

「東海つばめ学習会」の江南市事務局として、市内4教室を開講・統括する菊池さん。なぜ、江南市で無料塾を開講しようと思ったのでしょうか。

そのキッカケは、自身が目の当たりにした、子どもたちの“平等であると言い難い”学習機会の現状にありました。

多方面から寄付、英語の無料塾を開講

元々、東海つばめ学習会の「瑞光寺教室」で、ボランティア講師をしていた菊池さん。さまざまな環境の子どもたちと接する機会を通して、家庭環境の違いによって勉強への接し方が大きく異なっていることを知ったといいます。また子どもたちの、平等であると言い難い学習機会の“現実”を目の当たりにしました。

菊池さん:
「家庭の複雑な事情を抱えていたり、学校教育についていけない子どもたちにもたくさん出会いました。勉強どころではない状況に置かれていたりもします。その子どもたちから見た、大人たちや社会はどう見えているのだろうかと心配になることもありました」


“私にもっとできることがあるのではないか”

そんな思いから菊池さんは、生まれ故郷・江南市に「東海つばめ学習会」の江南教室を開講することを決断。学習支援活動を通して、地域社会に根付いた支援を広げたいと考えました。

菊池さん曰く「“こども食堂”と比べると、認知度は低い」という無料塾。しかし、ボランティア講師たちに声をかけたところ、市内外から多くの協力を得ることができ、お菓子・飲み物や学習用のテキストの寄付も集まったといいます。

当時について、「素晴らしい人の繋がりを、再認識することとなりました。私一人では、到底実現できなかったと思います」と振り返る菊池さん。多くの人のサポートのもと、2024年4月に江南教室が開講しました。

まずは、一人で学ぶことが難しいとされる英語のみを扱う無料塾としてスタート。菊池さん曰く「全国でも事例があまりない」という、“英語の無料塾”が誕生しました。

数学から国語、AIまで!多岐にわたる学び

2025年1月、「江南第二教室」・「永正寺教室」の2教室が開講。現在、江南市内には4つの無料塾があります。それぞれ、どのようなスケジュールで、どんな学びを子どもたちに提供しているのでしょうか。

英語指導に特化した「江南教室」は、毎月第3日曜の15時~17時に開催。英語の本質的な部分を伝えながら、学校の授業についていけるようにすること目的としており、将来的には試験勉強のための英語ではなく、実用的な英語を使いこなせるようになってほしいといいます。

「江南第二教室」は、毎月第3日曜日の13時~15時に開催。江南教室での活動時、積み上げ型の算数・数学に対する要望や『国語の取り組み方がわからない』という声も寄せられていたことから、同教室では数学と国語に注力しています。

各教科の取り組み方について、菊池さんは「積み上げ型である算数は小学生の時につまずいてしまうと、中学の学習理解が進まなくなってしまいますので、丁寧に伴走してあげたいと考えております」と話し、国語については、「どのように物事を理解するのかの本質をお伝えしながら、日本語を大切に扱って、言葉との向き合い方を一緒に学びたいと考えております」と明かしました。

「江南教室」と「江南第二教室」は、『中央コミュニティ・センター』で開催。同日に開催しているので、各教室の授業を連続して受けることも可能です。


普段は、コンピュータのエンジニアとして働く菊池さん。AIを毎日使って研究していることから、子どもたちの学びとAIを正面から考えるため、コンピュータ・AIを扱う教室として「永正寺教室」を開講。開催場所は、教室名にもあるように「お寺」。菊池さんによると、永正寺の和尚も本活動に非常に協力的で、無料塾の取り組みを応援してくれているといいます。

開催日時は、毎月第3日曜日の10時~12時。パソコンのタイピングからシステムの仕組み、AIまで広く学ぶことができ、将来、コンピュータやAIを使いこなせるよう、丁寧に解説と実習を行っているそう。

また、毎月第4日曜日の16時~18時に開催している「布袋教室」では、学校の勉強についていけるよう、英語・算数・国語の指導に取り組んでいます。

「人のために行動する」つながる人々、広がる輪

社会人や大学生、高校生など幅広い層が、ボランティアの講師として関わっている「東海つばめ学習会」。市内外から多くのボランティアが集まっており、江南市の無料塾だけでも、20名を超えるボランティアの講師たちが指導にあたっているといいます。

子どもたちの保護者からも、支持を集める無料塾。菊池さんによると、保護者たちからは「算数・数学を家庭では教えられないので、大変ありがたい」という喜びの声をはじめ、きょうだいが揃って受講できることや、英語と数学・国語を連続して受講できることも評価されているといいます。

また、マンツーマンの個別指導を心がけていることから、子どもたちからも「疑問が解決するまで、先生(講師)に聞きやすい」と好評の様子。

多くの人の支援によって、広がり続ける無料塾の“輪”。この動きを、菊池さん自身はどのように受け止めているのでしょうか。

江南教室開講以降、今なお各教室には、お菓子や飲み物、テキスト、文房具などさまざまな寄付が集まっているといいます。そんな塾の近況にふれながら、菊池さんは「江南市社会福祉協議会の方々や永正寺様にもお世話になっております。告知では、地域の回覧板や新聞販売店の方々のお力もいただきました。江南市地域交流センターでは、イベントを定期的に行なっております。ご協力いただける人々の温かな輪にふれています」と、自身が体感した人の温かさと感謝を述べました。


無料塾に通う子どもたち、指導にあたるボランティア講師、活動をサポートする地域の人々。携わるすべての人々にとって、さまざまな気付きと新たな知見を得るキッカケとなっている“無料塾”。菊池さんは、「ここ(無料塾)で関わった子どもたちや学生の皆様が、次の社会の担い手として、“人のために行動すること”をしてもらえるならば、これ以上の喜びはありません」と、本取り組みが目指す“循環型の支援”についてふれました。

続けて、無料塾の広がりについては、「同じ思いを共有する仲間が増えていることを、誇りに思います」と嬉しさを滲ませ、「この取り組みが、誰か困っている人を『支援したい』という気持ちを広げるキッカケになればと願っています」と、無料塾の未来に想いを馳せました。

学びを通じて、つながり始めた人と人。「東海つばめ学習会」の今後の展望について、菊池さんは「社会をより良い方向に変える、キッカケを提供する存在になりたい」と語りました。

江南市内の4教室は事前予約制。「東海つばめ学習会」の公式HPで予約することができます。

最終更新日:2025年1月29日 17:36
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