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「ここまで課金したんだから失敗できない」 6年間で1000万円超え!? 気になる受験の“お金事情” 過熱による弊害も…【2025受験事情の最前線 #2】

2025年3月14日 12:40
「ここまで課金したんだから失敗できない」 6年間で1000万円超え!? 気になる受験の“お金事情” 過熱による弊害も…【2025受験事情の最前線 #2】

中学受験をする前に、考えておかなければいけないのが「お金」について。受験対策のための塾通い、入学後の入学金や授業料、私立ならそれ以外にも必要なお金が…。不安に感じる人も多い「受験のお金事情」について、東進ハイスクール講師の村瀬哲史さんと学歴研究家の伊藤滉一郎さんに聞いてみました。

◆“集団塾” “個別塾”の併用が当たり前!? 中学受験にかかる費用

中学受験をする場合、受験対策として多くの人が子どもを集団塾に通わせますが、塾の費用の平均は、小学4年生で50~60万円、5年生で70~80万円、6年生で90~120万円、3年間で210~260万円となっています。

国公立大学の学費を軽く超える金額ですが、これはあくまでも最低限の数字だと伊藤さんは指摘。首都圏では、集団塾と個別塾を併用するのが当たり前になっていて、最近では数学に特化した塾などもあるそうです。

学歴研究家 伊藤滉一郎さん:
「今は集団塾に加えて苦手教科は個別指導に通ったりもするんですよ。家庭教師をつけたりとか。そうなると3年間でプラス100万とか必要になってくる」

苦手教科だけ塾のペースについていけなくなると困るので、塾のクラスについていくために、別の塾に通わせるケースは、村瀬さんもよく耳にするといいます。

こうした塾代に加えて、塾に通う交通費や参考書などの雑費、受験をするときには1校3万円ほどの受験料も必要です。

東進ハイスクール講師 村瀬哲史さん:
「うちも真ん中の子が中学受験やりたいって言うからやらせたんですよ。だけど、やっぱりお金がかかるから、3人目の時は緊張しました。できたら(中学受験したいって)言わんといてって。だって、学費もあって塾代もあって2人私立でってなったら辛いですよ。お兄ちゃんは受験したのにダメとは言えないですからね」

◆私立ならではの文化も…私立中高一貫校の学費

私立の中高一貫校に入ってからの学費は、入学金が約30万円、年間の授業料が約50万円、雑費が約50万円なので、年間100万円ほど必要になります。

しかし、学費以外にも必要なお金があるようです。その一つが、私立特有の学校への寄付金。

伊藤さんによると、寄付一口の金額は数十万円から100万円レベル。子どもが通っている学校なので、一口ぐらいは寄付をしておきたいと思うのが親心ですが、簡単に出せる金額ではないことも。しかも、自分だけしないわけにはいかない状況になっているといいます。

さらに、私立ならではのこんな事情も…。

東進ハイスクール講師 村瀬哲史さん:
「修学旅行も、私立だったら海外とかに行く。その修学旅行だってタダで行けるわけじゃない。親が積み立ててるわけだから、その額も変わってくる」

学歴研究家 伊藤滉一郎さん:
「寄付抜きで考えても、中学卒業までに1000万円近くの費用がかかることは覚悟しといたほうがいいかなと思います」

高校無償化の流れが加速していますが、私立の中高一貫校に通わせるのであれば、入学金や授業料以外にも必要な費用があると、心の準備をしておいたほうがよさそうです。

◆中高一貫校なら関係ない? 高校受験にかかる費用

高校受験をする場合の塾代は、中学1年生で27万円、2年生で29万円、3年生で46万円、3年間で100万円ほど。中学受験に必要な塾代の半額以下です。

高校受験がない中高一貫校に通うのであれば、この塾代は必要ない…というわけでもないようです。

学歴研究家 伊藤滉一郎さん:
「サンクコストの意識が働くのか、大学受験を見据えているのか、中学受験前に300万円くらいかけて入って、その後、大量の寄付金なり授業料を払いながら、50%ぐらいが中学1年生からも塾にも通っています」

東進ハイスクール講師 村瀬哲史さん:
「関西だったら同志社中学とか立命館中学とか、そのまま大学まで行ける子で塾に通っているのはすごく少ないけど、大学受験を目指すっていう子はゴールじゃないですもんね。またそこからスタートで、中学1年生から塾に行っている子って、結構な率あります」

首都圏には“鉄緑会”という東大や医学部など最難関大学向けの塾もあり、名門中学の生徒たちの多くは中学1年生から通っているといいます。“鉄緑会”に行きながら、“鉄緑会”の授業についていくために別の塾や予備校に行くことも珍しくないようです。

ただし、これはあくまでも東大や医学部などの難関大学を目指す場合の話。地方の国公立大学や“MARCH”“関関同立”などがゴールなのであれば、最難関の中学受験や、中学からの塾通いは必要ないと伊藤さんは話します。

◆エスカレートすると“教育虐待”に…過熱する中学受験の弊害

中学受験にかかる費用や労力が年々増加し、過熱する中学受験。弊害はないのでしょうか。

伊藤さんが懸念するのは“教育虐待”。受験に膨大なお金と時間をかけることは親にとっても大きなプレッシャーになり、「ここまで課金したんだから失敗できない」という心理状況に陥りやすいといいます。

塾代や学費が膨れ上がるにつれ、こうした問題が徐々に顕在化していくのではないかと指摘します。

その言葉を聞き「胸が痛い」という村瀬さん。過去に苦い経験があるようです。

東進ハイスクール講師 村瀬哲史さん:
「真ん中の子が中学受験したいって言って始めたんだけど、合格するにはこれくらいのことやらなあかんっていう思いがあるから、ついつい受験直前まで口を挟んじゃいました。高校受験とかになったら本人に任せるウェイトが大きくはなると思うんですけど」

受験生の気持ちは痛いほど理解しているはずの村瀬さんですが、自分の子どもに対しては思わず口を挟んでしまったそうです。

学歴研究家 伊藤滉一郎さん:
「お金と時間をかけて良い中学に入れたのに、そこで停滞していたら、やっぱり親としたら言いたくなってしまう。サンクコストって僕は呼んでいるんですけど、それが積み上がれば積み上がるほど、やっぱり親としても今更撤退するわけにはいかないと」

中学受験をするのであれば、親もかなりの覚悟をもって挑む必要があるのかもしれません。

次回のテーマは「愛知・公立中高一貫校の登場で高校偏差値ランキングに変化か」です。

最終更新日:2025年3月14日 12:40
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