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「無償化なら私立に行きたい」 高校の授業料無償化へ急加速 公立高校離れも加速するか…? "公立志向"愛知でも高まる危機感

2025年2月28日 16:43
「無償化なら私立に行きたい」 高校の授業料無償化へ急加速 公立高校離れも加速するか…? "公立志向"愛知でも高まる危機感
高校無償化で公立に危機感
高校の授業料無償化への動きが急加速しています。歴史的に“公立志向”と言われてきた愛知県。「無償化なら私立に行きたい」との声も多い中、公立高校は変化を迫られていました。

高校の授業料無償化の流れが急加速

2月26日から愛知県内の公立高校の一般入試が始まり、受験生たちが試験に挑みました。

そんな中、高校教育をめぐって大きな動きが。2月25日夜、自民・公明・維新の会談で、高校教育の無償化を含む予算案の修正が正式に合意。これが実現すれば2026年4月から私立高校の授業料の負担が大幅に解消され、子どもたちが進学先を選択しやすくなります。

愛知県の公立高校に通う高校生からは、「私立の方がお金かかったりするから、できれば公立と(親に)言われました。(私立は)設備が整ってるし、特殊なものや専門的なことを学べる高校も増えているので、行ってみたかったなと」など、私立高校をうらやむ声が聞こえてきました。

これまで伝統的に公立人気が高かった愛知県。しかし、最近は「英語」「スポーツ」「通信制」など何かに特化した私立高校が増え、思うように生徒が集まらなくなっています。さらに私立高校の授業料が実質無償となれば、定員割れが続出するのではないかという懸念も…。

こうした状況を受けて、2月26日に行われた県議会で、愛知県の飯田教育長は、公立高校もそれぞれの特色を出すため、新しいことに挑戦していく意欲を示しました。

愛知県 飯田靖教育長:
「小中高を通じて、現場の仕事の質の高さや、やりがいを実体験できるキャリア教育に力を入れ、地域の将来を担う若者を育てて参ります」

愛知県の公立高校も変化を模索

魅力を上げようと、すでに新しい動きも出てきています。

愛知県豊橋市にある県立時習館高校では、老朽化した校舎を2024年末に改修しました。教室や廊下、外壁もぴかぴか!

さらに、2026年度から中高一貫の付属中の開校が決まり、1年後を目標に中学校の校舎ができる予定です。

時習館高校 寺田安孝校長:
「社会の変化に対して、学校の教育そのものも変わっていく必要性があるなと」

一方で、私立と比べると資金や設備面で限界があるのも事実。社会の変化に合わせて変わりつつある公立高校。これからどう進んでいくのでしょうか。

高校無償化で“公立志向”の愛知県はどうなる?

世帯の所得を問わない私立高校授業料無償化は、2024年から大阪府で段階的にスタートしていて、授業料だけでなく施設整備費も合わせて最大63万円の補助があります。

その結果、2024年は大阪府立高校145校のうち70校が定員割れ。少子化の流れがあるとはいえ、2023年は40校ほどだったので、無償化によって大きく動いたといえます。

今回、三党で合意した案は、2026年度から全国一律に私立高校の授業料について所得制限を撤廃し、最大45万7000円を助成するというもの。

私立高校の授業料は高額というイメージがありますが、愛知県の場合、年間平均は約44万5000円。最大45万円の助成により、この負担はほぼ解消できることになります。

校舎や体育館などの設備が充実していたり、デザイナーズブランドの制服を採用していたりと、子どもたちにとっては魅力的な私立高校。施設整備費などが追加でかかることもありますが、授業料の負担が軽減されるのであれば、私立高校への進学を検討する保護者も増えそうです。

高校教育の無償化は、単なる経済的負担の軽減にとどまらず、教育の在り方そのものを変える可能性を秘めているのかもしれません。

最終更新日:2025年2月28日 16:43
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