名古屋で広がる「校内フリースクール」 2025年度から小学校5校でモデル実施スタート 中学校は市内全校に拡大 “学校に行く”“家にいる”以外の選択肢を…
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校内フリースクールとは、学校の中に教室以外の居場所を作り、一人一人の状況に応じて生活や学習を支援するもの。その日に何をするか自分で計画して自分で取り組めるよう、担当教員がサポートします。
学校に行きづらいと感じたとき、これまでは“我慢して学校に来る”か“家にいる”かの2択しかありませんでしたが、校内フリースクールは、その中間となる“第3の居場所”として位置づけられています。すでに不登校になっている子どもが在籍学級に戻るための準備期間として利用するケースも多いといいます。
2022年に市内の中学校30校でスタートし、2024年度には51校、2024年度には87校まで拡大。これまでに校内フリースクールを利用した生徒数は、2023年度は759人、2024年度は7月末時点で1000人以上となっていて、各校の不登校生徒の約4割が利用しているということです。
こうした状況を受けて市は2025年度から、中学校は市内全校にあたる110校に拡大、小学校でもモデル的に5校で開始することを決めました。現状、実施校は未定ですが、名古屋市教育委員会は、6月頃までには場所やルールを決めてスタートしたいとしています。
小学校での実施が決まった背景には、不登校の子どもたちの低年齢化があるようです。
同市教育委員会が2024年11月に発表したデータによると、市の不登校児童生徒数は増加傾向にあり、2023年度の不登校児童生徒数は6310人(小学校2480人、中学校3408人、高校422人)で、2014年度の2297人から約2.7倍に増加。特に近年は小学生の増加率が大きいことがわかります。
不登校の要因についての調査では、友人や教職員との関係に悩む児童生徒が一定数いることが改めて明らかになった一方で、「学校生活に対してやる気が出ない」という回答が最多に。子ども自身も「なぜ学校に行くのがつらいのか」をうまく説明できないことも多く、年齢が低くなればなるほどその傾向はより顕著になります。
同市教育委員会の担当者は「不登校になってしまう理由は本当にさまざま。不登校の児童生徒を減らすためには、学校を子どもが行きたくなるような場所や環境にすることが大事。校内フリースクールはそのための取り組みの一つ」と話します。
不登校の子どもたちの新たな選択肢となる「校内フリースクール」。こうした取り組みを足がかりに、学校がより多くの子どもたちにとって自分らしく過ごせる場所になれば、不登校問題の解消に向けた大きな力となるかもしれません。