2025年度から学童保育料金が値上げの見通し 突然伝えられた補助金の削減 需要は高まっているのに…なぜ? 保護者からは切実な声「学童ありきの仕事だと…」 愛知・岡崎市
なぜ補助金削減? 維持を求めて署名活動も
岡崎市にある学童保育所「つくしクラブ」では、学校の授業を終えた小学生たちが、遊んだり宿題をしたりして過ごしていました。
働くお父さんお母さんを助ける学童ですが、実は今、ある危機に直面しています。
つくしクラブ 西村巧支援員:
「つくしクラブだと毎月26万円ぐらいの削減。子どもの人数も、登録80人が半分になっちゃう計算」
2024年11月、岡崎市から突然、来年度の学童の補助金の削減が伝えられました。これまで通り運営を続けようとすると、受け入れられる子どもの人数は半減する計算です。
子どもを預ける保護者から聞こえてくるのは「私も夫もフルタイムで働いていて、親族も周りにいないですし、ここにいてくれたら安心して最後まで仕事できる」「学童ありきの仕事だと思っているので、もし学童がないと、仕事をどこまでカットできるかというところも検討材料になってくる」という切実な声。
現在の学童保育料金のまま据え置くと、受け入れられる子どもが半減するため、待機児童が増えてしまいます。この学童では、2025年度から月2000円ほど値上げする方針を固めました。
なぜ、学童への補助金が減らされる見込みなのでしょうか?
2025年度の予算を決める2月下旬からの議会を前に、学童側に通達された補助金削減の話。岡崎市の財務部によると、市の財政悪化により、優先順位をつけて予算を減らすしかないといいます。
そんな中、学童の支援員たちが市役所を訪れ、補助金の維持を求める署名1万9556人分を担当者に提出しました。
岡崎がくどうの会 平岩葉介事務局長:
「降りてきた予算の枠が、昨年度よりも圧倒的に少なかったんだろうなと思います。(補助金削減は)本意ではないという言い方もされていた」
岡崎市が掲げる『こどもまんなか おかざき』とは相反する学童の補助金減額。保護者の間では困惑が広がっているようです。
国の補助金拡大で市の負担も拡大?
年々高まっている学童の需要。子ども家庭庁によると、2024年5月時点での全国の学童の登録者数は約152万人で、前年に比べ6万人以上増加しています。
今回取材した岡崎市では、学童を利用したくてもできない“待機児童”が153人いて、愛知県内で最多となっています。
需要が高まる中、国は学童に対しての補助金を出しています。
補助金の額は支援員の人数や働き方などによって異なるものの、2023年度までは、児童36~45人あたり最大で年間約487万円の補助金が出されていました。これを国・県・市町村で3分の1ずつ負担するので、市の負担は約162万円となります。
国はこれをさらに拡充しようと、2024年度から新たな枠組みを創設。その結果、もらえる補助金が最大で約655万円に増額されたのです。この場合、国・県・市町村の負担はそれぞれ56万円増えて約218万円となります。
岡崎市も2024年度はこの制度で補助金を支払ったのですが、市全体の予算削減のために、2023年度までの制度で補助金を支払うことにしたようです。
しかし、2025年度の予算案は2月26日から始まる議会に提案されるため、まだ決定したわけではありません。今後、詳細が決まっていくということです。