冬の味覚・カキがピンチ!「9割死んでる」「身が痩せている」、各産地でカキに異変...養殖業者も悲鳴「本当に死活問題」
冬の味覚「カキ」に異変が起きています。水から引き上げた際、“死んでいるカキ”が約9割にもおよぶエリアもあるという今年。一体、何が原因なのでしょうか。
仕入れ値は1個あたり100~200円値上がり
名古屋市内に2店舗をかまえる、『貝料理専門店 貝しぐれ 名駅店』。カキの身を楽しむ「牡蠣しゃぶしゃぶ」や、新鮮なカキをいくらやウニと一緒に味わえる「痛風3点盛り」など、カキを使ったさまざまなメニューが揃います。
『貝料理専門店 貝しぐれ 名駅店』の玉城純店長曰く、「この時期はカキいちおしでやっていて、お客さんからも大好評」だというこの時期。しかし、今年はカキにある異変があるといいます。
「宮城県からカキを仕入れているんですけど、生産者が言うには引き上げる前から、死んでるのが半分ぐらい」と、カキの現状を明かす玉城店長。続けて、「その中からいいものを選ぶとなるとどうしても、値段も上がってきたりするのが今の現状みたいです」と話します。
玉城店長によると、カキの成育不良が続き、仕入れ値は1個あたり100円から200円も値上がり。メニューの価格も、今年から上げざるを得なくなりました。
“異変”はそれだけではありません。身が痩せているものが増えている上に、「(身が痩せてしまって)水っぽさが出ている」というのです。
こうしたカキの異変は、全国で見られています。カキの生産量“日本一”を誇る広島県では、水揚げ量が例年より減少。宮城県では、成育が遅れたことで、出荷の解禁を例年より1か月ほど遅らせたといいます。
「本当に死活問題」カキ小屋も週1~2日休み
東海地方のカキの名産地、三重県鳥羽市でも異変が起きていました。養殖しているカキを引き上げてみると、育てたカキのほとんどが、死んでしまっている、過去最悪の状況。
『山安水産』の間宮昌昭さんは、引き上げたカキを眺めながら、「これ全部死んでいるんですよ。8~9割死んでいる」と話します。
出荷に向けた選別作業を進めるスペースでは、死んでいるカキでカゴが満杯に。死んでいるカキは、破棄するといいます。
間宮さん曰く、「この時期とれるカキとしては、まだ小さいものも目立つ」という今年。漁協関係者によると、原因は特定されていませんが、夏の暑さが長引き、海水温が上がっていること、えさの不足などが影響していると考えられています。
そんな状況を受け、カキの食べ放題を提供する、『山安水産』のカキ小屋は、週1~2日を定休日に変更。本来なら、この時期はカキの食べ放題を楽しむお客さんで毎日賑わっているといいます。
「もの自体がないので仕方ない」と、心境を明かす間宮さん。取材時は定休日でしたが、そうとは知らずに店に訪れるお客さんの姿も。大阪から来たというお客さんは、「(休みは)珍しいですね、毎年来ているのにね」と話し、他に開いているお店を探しに行きました。
カキの養殖業者からは、「もう続けられない」という声も。三重県なども調査に乗り出していますが、具体的な解決策などは見つかっておらず、来年以降の見通しもたっていない状況だといいます。
冬の味覚、カキに起きている異変。間宮さんは、「やはり経営的に、いろいろ考えていかなければならないときにきている。本当に死活問題です」と心境を明かしました。