はじまりは1通のDMだった… 「SNS型ロマンス詐欺」の巧妙な手口 信じた女性に人生狂わされた63歳男性が被害の一部始終を語る
多様化する詐欺の手口。1通のダイレクトメッセージをきっかけに人生が狂わされることもあるようです。SNS型ロマンス詐欺の巧妙な手口の一部始終を、被害にあった男性本人が明かしてくれました。なぜ信じ、どうやって金をだまし取られたのでしょうか…。
夢を打ち明けた男性に女が提案したのは…
きっかけは3か月前、TikTokで届いた1通のダイレクトメッセージです。差出人は台湾在住のAya(アヤ)という女。30代半ばで、ヨガスタジオの経営者と名乗っていました。
被害者(63):
「(気分を)乗せてくるところもあるし、ほめてくるところも結構あった。向こうも『運命の人』みたいなことも言ってたので」
やりとりはLINEに移り、女からは入浴しながらくつろいでいる写真や、手料理の写真などが連日送られてきました。
やりとりを重ねるうちに、女は結婚を意識させてきたといいます。
2人の将来について語り合う中、女は男性に夢を尋ねてきました。
被害者(63):
「子ども食堂みたいなことをやりたいと言ったんです。(女に)費用で協力できるという話も言われたし、一緒にやらないですかという形で勧められて」
子ども食堂を開きたいという夢を打ち明けた男性に対し、女が提案してきたことは、服や化粧品などを扱うオンラインショップの経営でした。
女の説明では、オンラインショップに掲載する商品を男性が選び、客から注文が入るごとに、「仕入れ代」と称した費用を男性が運営側に支払うと、数日後、販売利益が入金されるという仕組みでした。
登録から数日、男性は3回に分けて38万円余りを支払い、約9万円の利益を得たといいます。しかし…
被害者(63):
「4回目以降は全然戻り(利益の入金)がなくて、おかしいなと」
振り込み先の口座が毎回変わるなど、不審な点はありましたが、男性はその後も合わせて390万円余りを振り込みました。その理由は、女からの「ダーリン、私を信じて」「一緒に遊び、一緒に仕事をし、一緒にお金を稼ぎましょう」というメッセージだったといいます。
被害者(63):
「そのころAyaとも雰囲気的にはいい感じになって、一緒にやりましょうとあったし、おいしい話かなと思った」
その後も現金は戻らず、男性は警察に被害届を提出。女を信用したことへの後悔だけが残っています。
被害者(63):
「ほめられて調子に乗ったところもあるけど、のめりこんでしまったというか、乗せられてしまった」
三重県内ではこうしたSNS型ロマンス詐欺が今年の6月から増加しています。三重県警によると、6月から10月の5か月間で59件の被害があり、被害総額は約4億円にのぼります。被害者は50代が多いそうで、男性だけでなく女性も被害に。
どうしてだまされてしまうのでしょうか…。
捜査関係者によると「犯人は外国人が多く、カタコトの日本語で信じられないようなことも非日常を演出して信用させ、恋愛感情を芽生えさせる手口が多い」ということです。
警察は「直接会ったことのない人からお金の話がでたら詐欺を疑いましょう」と注意を呼びかけています。