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“防災瓦”で被災地を支援!工場で50%増産、復興に向けて瓦業界が動き出す

2024年3月21日 17:51
“防災瓦”で被災地を支援!工場で50%増産、復興に向けて瓦業界が動き出す

瓦で日本の原風景と人々の安全を守りたい。「三州瓦」で知られる碧南市の瓦工場では、被災地の復興を支援するべく、瓦の生産が急ピッチで行われていた。能登半島地震の発生から約3か月。今、瓦業界が被災地の復興に向けて動き始めている。

通常の50%増産!被災地へ瓦を支援

全国一位の瓦生産量を誇る愛知県。なかでも、碧南市や高浜市は昔から瓦の生産が盛んな地域だ。碧南市にある工場「マルスギ」では、伝統の「三州瓦」を製造。1か月で約100万枚を生産していますが、現在は“ある理由”で急ピッチで製造しているという。

今年の元日、最大震度7を観測した能登半島地震。3月19日時点の消防庁情報によると、住宅の被害は約11万棟にのぼる。「マルスギ」では、そんな被災地での家屋再建に備えて、瓦を50%増産。瓦を被災地に送る準備を進めていたのだ。

「愛知県陶器瓦工業組合」の杉浦英行理事は、今回の取り組みについて、「北陸地区向けの瓦も、こちらではたくさん作らせていただいています。復興に向けて増産の体制をとって、復興の支障にならないよう万全の体制を整えております」と話す。

瓦工場による“瓦の支援”。「石川県瓦工事協同組合」の天池満理事長は、「(被災地で)工事が実際に始まると、もしかしたら瓦が不足になる可能性もある。そういった支援は本当に助かる」と感謝の気持ちを述べた。続けて、「特に愛知県の三州瓦は使う頻度が高いので、メーカーさんにもご協力いただいて、うまく流通ができるようにされたらいいなと思います」と今後の展開にも期待を寄せた。

建物自体の地震対策が重要「瓦屋根でも倒壊しない」

先月、石川県を訪れた、「愛知県陶器瓦工業組合」の杉浦理事。倒壊していた建物には、ある共通点があったという。「倒壊している建物は、昭和56年の建築基準法改正以前のかなり古い建物が多く見受けられました。(瓦の)屋根が重いとか軽いではなくて、耐震性に問題がある住宅が被災されてしまったのかなと思っております」と自身の見解を述べた。しかし、発災時に倒れた建物の多くが瓦屋根だったことから、「瓦屋根が重いせいで家が崩れてしまった」という印象を持つ人も少なくないという。

耐震シミュレーションでは、1981年に定められた新耐震基準を満たしていれば、瓦屋根でも倒壊しなかったという結果に。建物自体の地震対策が、重要だと述べた。

災害に強い“防災瓦”で日本の原風景を築く

現在、愛知県陶器瓦工業組合で製造されている瓦はすべて、災害への対策を施した“防災瓦”だ。“防災瓦“とは、瓦の1枚1枚を互いに組み合わせることで、地震や台風で飛ばされにくい構造となっている。さらに、瓦は“再利用”することが可能。割れてしまったり、規格外となったりした瓦は細かく砕かれ、粘土と混ぜて再び瓦の材料や園芸用の土などに利用することができるのだ。

発災時、街のあちこちで散らばっていた瓦も災害廃棄物として捨てられるのではなく、資源として新たに生まれ変わることができるのだ。

「愛知県陶器瓦工業組合」の杉浦理事は、「古い街並みがひとつの観光資源でもあった。そういった街並みが日本の原風景でもあったのかなと思います」と、石川県を訪れた際に感じた思いを振り返る。続けて、「そういった街並みを今後後世に残していくために、瓦というもので建てられた建物が必須なのかなと思っております。我々も微力ではありますけれども、お手伝いさせていただきたいと思っております」と被災地への思いを語った。

さまざまな角度から、被災地への復興支援に向けて動き出した瓦業界。災害に立ち向かう瓦の存在が、日本の原風景を再び築いていくことだろう。

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