人生初のヘアカット 「髪を寄付したい」と65センチをバッサリ! 寄付した髪の行方を調査
「中学2年の娘が生まれてから一度も髪を切っておらず、髪の毛をヘアドネーションしたいと言っています。自分の髪がどう使われていくのか知りたいので、髪の毛の行方を知れるところまで調べてほしいです」と、中京テレビ「あなたの真ん中取材班」に投稿がありました。
ということで、半年間、徹底追跡しました。
愛知県岡崎市に住む吉田柊さん、14歳。生まれてから一度も髪を切っていません。
どれくらい長いのかというと、なんと135センチ。ふくらはぎくらいまであります。
吉田柊さん:
「小さい頃にラプンツェルが好きで、伸ばしていたら切る機会がなくなって、伸ばしていました」
いろんなヘアアレンジが楽しめて気に入っているそうですが、「どこかに絡まったり、自分で踏んじゃったりすると痛いし、大変だなって」と柊さん。自転車に乗ったときには車輪に髪が絡まってしまうこともあり、生活するには大変なことも多いようです。
この日、柊さんの姿は美容院に。人生で初めて髪を切ることを決めました。
柊さん:
「ヘアドネーションがしたいです。困っている人がたくさんいるから、そういう人たちのために、自分の髪が活躍できるなら切りたいなって」
最初のはさみは自分で入れます。
柊さん:
「人生初めてだから、不思議な感じがします」
切った長さは65センチ。
毎日髪を編んでくれたお母さんは「本人がいいと思ったんで、いいことしたと思う」と、思わず涙。
ヘアドネーションに挑戦した柊さんですが、ある不安がありました。
「人毛だから髪の毛を(SNS上などで)悪用したりっていうのを見たから心配だなって。髪の毛を切ったあとに持ち主のところまでどうなるのか気になります」
そう考えた柊さんは、追跡をお願いしてくれたんです。
切った髪は、どこへいくのでしょうか。
この日、取材班は群馬県太田市へ。そこにいたのは女子高校生たちです。
和樽真理安さん:
「全国から集まってくる髪の毛を仕分けて、アートネイチャーに送って、小児がんの子どもたちにウィッグを提供する活動です」
「女子高生ヘアドネーション同好会」。5年間で、18人の子どもにウィッグを寄付してきました。
実は柊さん、この同好会に自分の髪の毛を託すことを決め、手紙と一緒に送っていたのです。
柊さんの手紙には、「少しでも多くの人の力になりたいです。14年間伸ばしてきた大事な髪の毛なので、大切に扱ってくれるとすごくうれしいです」と書かれていました。
自分の髪がどうなるか知りたい。その思いを知った女子高校生たちがオンライン会を用意してくれました。
和樽さん:「すごいね、きれいだね。こんなに長いの、めったにない。激レアです。髪のケアとか教えていただきたいです」
柊さん:「なにもしていないです」
オンライン会で見せてもらったのは、長さごとに仕分ける作業。柊さんには気になったことがあるようです。
柊さん:「ヘアドネーションをする人って、どれくらいの髪の長さの人が多い?」
和樽さん:「結構バラバラですね」
柊さん:「私みたいに60センチ以上ある人って、あんまいないですか?」
和樽さん:「あんまりいないので、すごく盛り上がりますね」
「丁寧な作業をしてくれたから、この後はどんな作業しているんだろうとか、見てみたいと思っちゃいました」と柊さん。
柊さんの髪には今後も追跡するために、金色のリボンをつけてもらいました。
今年1月。取材班が訪ねたのは、東京にある「アートネイチャー」。届けられた髪のなかに、柊さんの髪の印、金のリボンがありました。
ここでは、長さが31センチ以上あるかなどの検品作業が行われます。基準を満たしたもののみ、ウィッグ製作の工場に送られるんです。
アートネイチャー 広報部 樫木一成さん:
「中ほどを折り曲げて、折り曲がった部分が根本になる。短いと半分になったときに、髪の毛がこれくらいにしかならない。ぴょんぴょん立って、ウィッグとして使うのは難しい」
それから約2か月。取材班のもとに、アートネイチャーから1本の動画が届きました。これを見てもらうため、柊さんのもとへ。
映っていたのは、柊さんの髪が国内を飛び出し、遠く離れたフィリピンで撮影された動画。段ボールから一つ一つ取り出された髪のなかには、あの金色のリボンがついた柊さんのものもありました。
動画には、ウィッグを製作する過程の映像も記録されていました。一つ一つ手作業で作られているウィッグ。
柊さん:
「すごい、手作りなの!?」
柊さん:
「髪の毛を初めて切るときは不安とかいろいろあったけど、今は髪切って、誰かのために切れてよかったなと思うし、さっきの動画みて、改めてめっちゃしたいって思いました。ヘアドネーション、もう一回してみたいです」