狙われる日本の「盆栽」 海外人気が高まるウラで相次ぐ窃盗 1000万円以上の被害に苦しむ盆栽園 1年で3度も…
海外からの人気が高まる日本の盆栽。そのウラで窃盗事件も相次いでいます。盆栽園の防犯カメラが盆栽窃盗の瞬間を捉えました。
深夜の盆栽園に忍び寄る影 相次ぐ窃盗被害は海外人気が影響か…
11月20日の午前0時すぎ。三重県の盆栽園に設置された防犯カメラが捉えたのは、ひっそりと静まりかえった園内に1人の人物が塀を乗り越えて侵入する様子でした。
まわりに気づかれないためか、地を這うように四つんばいになりながら、しきりに園内を動き回り物色。何か探している物があるのでしょうか…。
そして次の瞬間、先ほどまであったはずの盆栽が消えてしまったのです。犯人は足早に去って行きました。この間わずか10分。
三重県の盆栽園 園主:
「一言で悲しいよね。盆栽というのは根から管理しないといけないから、それだけ手塩にかけて育てないと」
深夜に起こった窃盗被害。しかし今回、盗まれた盆栽は意外な場所で発見されました。なんと、県をまたいで愛知県一宮市の畑から見つかったのです。
発見した男性によると、畑で使う堆肥を雨などから保護するためにかけてあったブルーシートの下に、盆栽はあったということです。
なぜここに盆栽があったかはわかっていませんが、今回盗まれた盆栽は、警察から園主のもとに戻ってきました。
しかし、園主によると、被害は今回だけではないといいます。
三重県の盆栽園 園主:
「今回で3回目です。最初は去年の12月28日、年末に。2回目は2月なんです。2月には高価な物ばかり(全部で)1000万くらい」
複数回被害に遭ったのは、この盆栽園だけではありません。警察によると、11月には愛知県稲沢市の盆栽園でも10鉢盗まれる被害があり、ここも3回目の被害だというのです。
相次ぐ盆栽の窃盗。その背景には、海外での盆栽需要の高まりが…。
名古屋市内にある別の盆栽園では、現在、客の約8割が外国人だといいます。
名古屋の盆栽園 園主:
「ここ5~10年ぐらいで特にそういう傾向になっています。感覚的ですけど(10年前と比べて需要が)10倍以上じゃないですか。もっとかもしれないですね」
財務省による貿易統計でも、去年、盆栽の輸出額は2019年と比べて約2倍に。輸出額がもっとも大きいのは中国で、次いでイタリア、オランダ、ドイツ、スペインと、ヨーロッパでの人気も高まっています。
年々高まる海外での盆栽需要。こうした背景などから、警察では盗まれた盆栽が海外に輸出されている可能性があるとみて、一連の事件について調べています。