×

避難場所が施錠されて入れない… 元日の災害で予想外の事態発生 対策がすすむ避難場所の"鍵"問題

2024年1月23日 14:40
避難場所が施錠されて入れない… 元日の災害で予想外の事態発生 対策がすすむ避難場所の"鍵"問題
避難所の“鍵”問題

能登半島地震から22日で3週間となりますが、発災当時、津波から逃げる避難者に予想外の事態が起きていました。津波の避難場所が施錠されていたため入れず、やむを得ず窓を割って入ったといいます。こうした事態を防ぐために、東海地方では様々な対策が行われていました。

窓を割ってなんとか屋上に… 元日に起きた災害で予想外の事態が発生

各地で多くの被害をもたらした能登半島地震。沿岸部では津波の被害もあり、危険から身を守るため、高台に多くの人が避難しました。

津波警報が出ていた富山市でも、津波から逃れようと多くの人が避難しましたが、緊急避難先に指定されていた小学校の鍵が開いていなかったため、外階段を使って3階へ避難するという事態が発生。発災日が元日だったこともあり、関係者がすぐに駆けつけられず、鍵がかかっていたのです。しかし、その後もどんどん避難する人が集まり、転ぶと危険な状態だったといいます。

当時避難をした 押田大祐 富山市議:
「150人くらいは10分以内に集まっていたが、小学校のカギが開いていない、いわゆる校庭に人がたまっている状態で、なんとか校舎に入るべきだと考えまして、すぐ市役所に連絡をとりました。緊急事態ですからと言われて、除雪用のスコップあったのでコツンと割りました」

窓を割って校舎の中へ避難したということです。富山市によりますと、市内では同様に窓を割って避難したというケースが9件あったといいます。

「避難施設に入れない…!」 そんな事態を防ぐための解決策とは?

こうした"避難施設に入れない"事態を防ぐため、三重県津市にある津波避難ビルでは、入口の扉のとなりに「地震解錠ボックス」という箱を設置。震度5弱以上の揺れに反応し、箱の鍵が自動的に開くという仕組みです。中には、避難スペースに向かうための扉の鍵や経路図、緊急用のラジオなどが入っています。

津市防災室 主幹 平松三恵 さん:
「誰が一番に鍵を開けに来られるかどうかというのは、大災害にあった場合は来られない場合もあるので、ここに常駐で(設置)」

津市では、2013年から誰でも避難スペースに向かうための扉を開けられるよう取り組んでいて、三重県や名古屋市などの沿岸地域でも設置が進められているということです。

また、南海トラフ地震の津波浸水想定区域とされている桑名市に、緊急避難施設として1年半ほど前に建てられた、高さ約11メートルの津波避難誘導デッキ。この施設も、普段は施錠されているのですが、緊急時には小窓についた石こうボードを手でたたき割り、ドアのカギを開けられるようになっているのです。ハンマーなどを使わず、誰でも簡単に壊すことができます。

この地域は海に続く揖斐川に面しており、海抜ゼロメートル地帯。南海トラフ地震が起きた場合、90分後に1~2メートルの津波が到達すると予想されています。

避難スペースには、地震が起きたときにだけ開けられる倉庫が設置され、避難者が生活するのに必要な水や食料などが備蓄されています。さらに、吸水シートや凝固剤を使って1回ごとに取り替えする簡易トイレのほか、屋上には太陽光パネルもあり、ライトをつけたりコンセントでスマホを充電したりできるようになっています。

桑名市防災・危機管理課 宮城文子主任:
「(この地域は)まわりを見渡すと高い建物が全くないんです。なので、地元の方からも『高い建物を』という要望もふくめ、垂直避難、上の方へ上って避難していただきたいと思っています」

しかし、この施設は浸水時孤立するおそれもあるため、市はできるだけ浸水が想定される区域の外へ避難してほしいと呼びかけています。

せっかく立派な施設を作っても、いざという時に有効活用できなければ意味がありません。緊急時に誰でも簡単に使えるようにするためには、わかりやすい表示や仕様が重要なのかもしれません。

  • 中京テレビNEWS NNN
  • 避難場所が施錠されて入れない… 元日の災害で予想外の事態発生 対策がすすむ避難場所の"鍵"問題