鳥山明さん死去、地元にも悲しみ広がる…「東山動植物園」コアラのデザインも担当
本日8日、出版社が発表した、愛知県出身の漫画家、鳥山明さんの訃報。1984年に連載が始まり、10年半続いた「ドラゴンボール」だけでも累計発行部数は、2億6000万部を超え、世界中からも親しまれた鳥山さんの作品たち。『BOOK OFF 栄スカイル店』では、訃報を知り単行本をまとめ買いするお客さんの姿も。「ニュースで流れてきて前々からずっと欲しかったが、いよいよ買えなくなりそうだと思って走ってきました」と話す。『BOOK OFF 栄スカイル店』店長・山本智広さんは、「鳥山先生の作品は幼い時からの心の支えで、今の状況では受け止めきれないぐらいのショックですね」と悲しみを滲ませた。
地元・清須市にも悲しみが広がる
愛知県の中でも、鳥山さんと特にゆかりが深いのが清須市。鳥山さんは、清須市が、来年に市制20周年を迎えることから、つい先日、記念ロゴを手がけていたばかりだった。訃報を受けて永田純夫清須市長は、「ロゴマークの作成を依頼したというところ。あまり(鳥山)先生はこういう仕事されないということだったんですけど、快く引き受けして頂いた。本当に急でびっくり。お悔やみ申し上げたいです」と悲しみを募らせた。
鳥山さんが来店していた清須市のラーメン店『信長ラーメン』の店主・亀貝俊哉さんは、「(鳥山)先生がうちで召し上がっていたのは、大盛りチャーシュー麺。ひっそり食べて帰って行かれるという感じでした」と話す。鳥山さんが決まって注文していたというのが、特製チャーシューが5枚のった「大盛りチャーシュー麺」。
亀貝さんは、鳥山さんについて、「もともとシャイな方って聞いていたから。こっちも静かに見守っていました」と振り返る。店内には悟空とともにかかれた、鳥山さんのサインが飾られている。サインを見るために来店する人も多く、なかには韓国から来たという人も。今回の訃報について、「亡くなったっていうニュースで、非常にびっくりした。まだそんなお年じゃない」と早すぎる別れに驚きを感じていた。
同じく清須市にある、鳥山さんが若い頃に通っていたという喫茶店にも、「悟空」と鳥山さんのサインが。店主は、「すごく温和でおとなしくて、あんまりものをそんなに喋る方ではなくて。いつもその場所で本を読んでました」とお店での様子を振り返る。
鳥山さんは壁際にある4人掛けの席が定位置で、店主の男性は読書を邪魔しないようにいつも見守っていたという。「あんなにいい人が亡くなっちゃって。世界の鳥山さんだもんね。目に浮かびますけどね。本当に残念ですね」と別れを惜しんだ。
漫画の原点・母校に残る鳥山さんの面影
その才能は、青年時代から輝いていた。鳥山さんの母校、愛知県立一宮起工科高校の卒業アルバムには、若かりし頃の鳥山さんの写真が映る。所属していたという、漫研同好会のページには、鳥山さんの直筆画が。愛知県立一宮起工科高校デザイン課の教諭、鵜飼辰彦さんは、「聞いた話ですけど「Dr.スランプ」の則巻千兵衛先生のモデルは(鳥山さんの担任だった)山田先生といわれています」と大人気漫画に関するエピソードを明かした。同高校の体育館のどんちょうは鳥山さんが寄贈した物。大人気作品を生み出した原点の場所には、鳥山さんの面影が今も残っている。
東山動植物園の“コアラマーク”もデザイン
さらに名古屋にも、鳥山明さんが遺したものが。それは、『東山動植物園』のコアラ舎にある「コアラマーク」。実はこのマークのデザインを担当したのも鳥山さんだ。1984年にコアラが初来日。愛護活動を盛り上げるために鳥山さんにデザインを依頼しており、コアラ舎のオープンとともにお披露目されたそう。『東山動植物園』の白木竜也さんは、「私も小さい頃から鳥山明先生の作品をいろいろと読ませていただいて。やはりそういった特徴というか、鳥山明先生らしさがあるのかなと思っています」とマークへの想いを語った。
世界中で愛される鳥山さんの作品。残した作品の数々は地元でも、これからも親しみ続けられていく。