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【大学発スタートアップ】藻場(もば)を荒らす「食害魚」人が食べるとちょっと…ドッグフードにしてみたら 福岡

2024年9月2日 7:03
【大学発スタートアップ】藻場(もば)を荒らす「食害魚」人が食べるとちょっと…ドッグフードにしてみたら 福岡
食害魚でドッグフード

海で海藻が少なくなり、焼け野原のようになる「磯焼け(いそやけ)」は、“海の砂漠化”とも言われ、大きな問題となっています。その原因の一つが、海藻を食べ尽くす「食害魚」と呼ばれる魚です。その魚をドッグフードにして海の環境を守ろうという取り組みが始まっています。

8月27日、福岡市でお披露目された「ドッグフード」。原料に使われているのは、長崎県の五島列島で取れるイスズミやアイゴという低脂質な白身魚です。

福岡を拠点に立命館大学発のスタートアップが開発しました。この魚を使ったのには理由があります。

■オーシャンリペア・戸田耕介 副社長
「イスズミやアイゴという魚は、ほとんど市場で流通していない魚なので、ドッグフードで市場を大きく作っていくことで、藻場(もば)が回復していくサポートをできるのではないかと思っています。」

魚のすみかである海藻が茂る藻場が減少し、焼け野原のようになる「磯焼け」の原因の一つが、海藻を食べ尽くす、イスズミやアイゴなどの魚による食害です。

藻場が減ることで、魚のすみかや産卵場所が奪われています。

■白水商店・原一仁さん(仲卸業者)
「漁師さんたちの話を聞く限りでは藻場は減っている。海藻類は採れなくなっている。(魚の)種類も減っているし、量も減っている状況です。」

食害魚は定置網に引っかかりますが、売り物にならず廃棄されます。海にとっては厄介物だというイスズミを試食しました。

■中村安里アナウンサー
「うーん。身は引き締まっているのですが、かめばかむほど磯の香りが広がってきて、あまり後味は良くないです。青臭い。」

ドッグフードとして商品化するにあたり、水産会社と連携して食用に処理し、魚のうま味成分を残した商品を完成させました。

人にとっては、食用には向いていない食害魚ですが。

■中村アナウンサー
「実際に私の愛犬2匹に食べさせてみます。」
■中村アナの母
「この子たちが食べるっていうのはすごいことよ。こんなにがっつかんもん。」

この2匹、普段は一般的なドッグフードは食べないということですが、磯の香りに誘われたのか食いつきはいいようです。

■戸田 副社長
「ドッグフードを足がかりにキャットフード、人用の商品、多岐にわたってイスズミやアイゴを流通させていけるように商品開発やアイデアを出していきたいと思っています。」

犬だけはなく海にもやさしいこのドッグフードは、9月1日から全国の小売店やインターネットで販売されます。2か月の子犬からシニア期まで食べることができるということです。

※FBS福岡放送めんたいワイド2024年8月27日午後5時すぎ放送