【被爆の記憶】「誰かに伝えておかないと」新たに3人が証言 初めて語った人も 次の世代が聞き取りHPで公開 福岡
戦争の記憶を風化させないため、被爆者の経験を記録した証言集がおよそ30年前から毎年、発行されています。「次の世代」が直接話を聞き取り、ことしは新たに3人の証言が加わりました。
■被爆体験者
「この世の中にあってはならないあの悲劇を、私はできる限り後継者に伝えたい。」
福岡市で3日、3人の被爆者を招いた交流会が開かれました。
「つたえてください あしたへ…」と題して、1995年の戦後50年から毎年、エフコープが発行している証言集で、組合員が被爆者から聞き取った話をまとめています。ことしは、新たに広島と長崎で被爆した3人の記憶が収められました。
そのうちの1人、福岡市東区に住む小柳千代さん(83)です。
■小柳千代さん
「両親がいない友達や、ケロイドになったお母さんを見てきていますので、本当に戦争はあってはいけないと思います。」
小柳さんは1945年8月9日、4歳の時に長崎市内の疎開先で被爆しましたが、その経験を人前で話したことはありませんでした。
■小柳さん
「被爆したと言ったら奇異な目で見られるんですよね。だけど、誰かに伝えておかないと。」
小柳さんは、これまでふたをしていた被爆の記憶を、2か月かけて聞き取りの担当者に伝えました。
■聞き取りを担当・中須みえさん
「小柳さんが今回、これを逃したら話さないかもしれないという覚悟で話してくださった。情景が浮かぶほどにしっかり覚えていらして。」
小柳さんたちの証言を加え、これまでに話を聞いた被爆者は、300人に上りました。
■小柳さん
「初めての経験で、してよかったなと今になって思います。1人でも知ってくださる方がいたらうれしいなと思いました。」
証言集「つたえてください あしたへ…」は、エフコープのホームページで公開されています。