【コメの価格】「5キロ4000円超」高止まりでおかわり無料を終了 政府は備蓄米を放出へ 効果は? 福岡
コメの価格が高止まりするなか、国は備蓄米の放出を決め、14日にも放出量などの概要を発表すると明らかにしました。食卓に欠かせないコメの価格は落ち着くのでしょうか。
福岡市中央区の長浜鮮魚市場の中にある飲食店を訪ねました。およそ30種類のメニューのうち、一番人気は「胡麻サバ定食」です。
■吉村史織アナウンサー
「臭みがないサバと、ふわふわのごはん。おいしい。ごはんが進みます。」
この店では「ごはんのおかわり無料」サービスを70年以上続けていました。
■飲食店「おきよ」女将・高嶋利華さん
「ちょっとおコメが高くなっちゃって、おかわり(料金を)いただくようにしました。」
仕入れるコメの量は、毎日20キロから30キロ。去年の夏に比べると、1キロあたり数百円高くなっているといいます。しばらく耐えていましたが、1月、やむなく「おかわり無料」を終了しました。
「令和の米騒動」とも呼ばれるコメ価格の高止まり。
■江藤農水相
「流通をある程度、円滑化するために、備蓄米の放出を行うということです。」
江藤農水相は12日の会見で、政府が保管している備蓄米の放出について、14日にも概要を発表すると明らかにしました。
不作や災害で供給量が大幅に減った時に備え、政府が100万トンを目安に保管しているのが備蓄米です。農水省は1月、「流通に支障が生じた場合」も活用できるよう、運用を見直すと発表していました。
■中村安里アナウンサー
「スーパーのおコメ売り場です。商品は十分に並んでいますが、価格は5キロで4000円を超えています。高い状態が続いているようです。」
店頭に並ぶコメの半分以上が5キロ4000円台になっていました。
■エムズ美和台店・久松浩一店長
「去年に比べて2倍近く値段が上がっています。(これだけの値上がりは)過去に一回もないですね。」
売れ行きも鈍くなり、店も頭を抱えています。
■買い物客
「困りますね。もうちょっと安くなったらいいのに。」
「おコメ好きです。少なくなったら悲しいです。」
取材中におコメを手に取った別の買い物客は、4人の子どもがいて、1日に4合以上炊くといいます。
■買い物客
「(高くても)子どもたちに食べさせてやりたいから。男の子はよく食べるので。備蓄米が放出されるから安くなるかもしれないけど、どうもそうでもないような雲行きなので、信用できずに安い時に買っておこうかなと。」
このように不安を口にしていました。
価格が高止まりする要因として、江藤農水相は流通に問題があるとの見方を示しています。
■江藤農水相
「コメは十分に供給されているのに 市場に出てこないのであれば、どこかにスタック(停滞)していると考えざるを得ない。」
コメの生産量は前年より18万トン多い見込みなのに対し、市場に出回っている量は逆におよそ21万トン少なく、価格の高止まりを招いているとみられています。
ただ、備蓄米放出による効果の見通しについて、江藤農水相は言及を避けました。
■江藤農水相
「これ(備蓄米放出)によって価格がドカンと下がるとか、そういうことを私から申し上げることは避けたいと思います。」
専門家は、備蓄米の放出が効果的な対策となるかは「放出される量次第」だと指摘します。
■SOMPOインスティチュート・プラス エコノミスト・小池理人さん
「放出が限定的になると、いま買い占めているかもしれない業者がコメを手放さない、需要者としても需要に対する供給が足りないということで、コメがさらに値上がりしていく可能性は十分にあると思います。」
また、効果があったとしても、作付面積が減少し、生産能力が下がっている現状が変わらない限りは、根本的に問題は解決しないとも指摘します。
■小池さん
「(放出した備蓄米は)1年以内に買い戻しをしないといけないルールがあり、買い占め業者のようなところに利益を得るチャンスを与えてしまったので、期間を絞ったことはあまりよくないのかなと思います。」
食卓に欠かせない、主食のコメ。安心して食べられるようになる日はいつ訪れるのか、不透明な状況が続きそうです。